シェア時代の企業コンセプト

1)売らない

第4回(>>記事はこちらから)の製造業のところでも述べたが、製造した後、売りっぱなしという考え方は改める時期にきている。技術的には顧客がどのように使っているかITにより把握できるところまできている。利用状況に応じて課金するようなモデルこそがシェア的であり、レンタルモデルもひとつの考え方だろう。最終的には引き取りリサイクルし、素材も再利用するというのが製造業に与えられたこれからのサイクルであるならば、製品は売るものではなく顧客とシェアするものであるという意識が何よりも重要な段階にきているのかもしれない。

2)ソリューションプロバイダー

シェアの潮流の根底にあるのは社会課題の解決である。企業が自ら社会課題を解決するためのソリューションプロバイダーというとしてのインフラやプラットフォーム構築を担うということがおのずとシェア型の仕組みを社会に広めることになる。例えばコンビニはすでに地域の共有拠点としての役割を担っている。ある意味共有冷蔵庫であり、最近の商品開発は単身老人世帯の共有台所まで担おうとしている。今後は共有倉庫、定額制の地域宅配サービスなど物流面で様々なソリューションプロバイダーの登場が待たれる。こうしたサービスが登場してくれば、地域の資源の最適化が生まれ、レンタル、貸し借り、共同購買などのビジネスが盛んになることが期待できる。

3)限られた資源

現在ソフトバンクが「プラチナバンド」を盛んに宣伝している。さらにはイーモバイルを買収して新しい周波数を手に入れた。携帯電話会社にとっては「周波数」は限られた資源で、それは公共財であり、総務省に認めてもらうものである。利用者達にそのことを広く知らしめることで、「貴重な電波をついにゲットしたよ。さあ使いましょう」というまさにシェアな考え方なプロモーションだと感じる。

→ソフトバンクプラチナバンド特設サイト
http://mb.softbank.jp/mb/special/platinum_bands/

自分の企業活動における資源が有限であるならば、その有限さを顧客とともにシェアするという告知の仕方は共感を創りやすい方法論だろう。そもそも地球環境は有限であるという前提でなければ企業活動が成り立たない状況である。ここは無限の成長を求める資本市場と矛盾するところではあるが、株主はともかく、顧客に対する有限性のアピールは重要になる。第5回(>>記事はこちらから)で述べた音楽ビジネスなどのライブもアーティストとの貴重な時間をシェアする行為にほかならない。有限な資源を顧客とシェアするというコミュニケーションはマーケティングにおいて欠かせないものになるのだろう。