増加するシェアビジネス
シェアハウスのように社会環境の変化から求められていく「シェア」という考え方は今後多くの領域で重要となる。2010年末に出版された「シェア<共有>からビジネスを生み出す新戦略」の中では多くのシェアビジネスの萌芽が紹介されている。
この本のなかでもハイパー消費社会の行き詰まりと表現されているが、我々の大量生産消費社会の結果もたられた、物質的充足感、地球環境破壊への恐れは、これまでの企業のマーケティング活動で盛んに用いられた「この商品を持つことで憧れのライフスタイルを自慢できます」という物質的商品を所有し、それを他人に自慢するという消費行動を急速に消失させた。最近の草食系と話題になる若者の消費行動とも十分関連していると言えるだろう。かつては、車は所有することで女の子に自慢するという役割があり、若者もこぞってローンを組んででも購入したものだ。しかし、現在車は道具であり、必要性の無い都会では免許すら取得しない若者が多い。そしてカーシェアリングは車が時々必要な人々向けのサービスとして確実に浸透しており、その台数も前年の3倍で増加しているようだ。所有ではなく、共同で使う選択をしていることが今や自慢できる要素になりつつある。
同様に新製品を買うよりもリユースをすることが賢い選択であるという流れも生まれており、「あげる」「ほしい」をやりとりすることでリユースをマッチングするサイトも生まれている。代表的なリブリスではすでに会員数が45,000人に達し、出品されている商品も39,888点に上る。
http://www.livlis.com/
シェアハウスだけでなく、最近都内でシェアオフィスも増加している。小さなワークスペースをフリーランスやベンチャー、会社を離れて勉強する社会人などが借りるスペースである。働くという考え方もひとつの会社組織のなかで出世を頑張るというモデルから同じ興味、関心を持つ人々と市場の可能性をシェアしながら自分のスキルを向上させたり、起業を目指したりというような考え方が増えているようだ。