また、1017トンのスナックも必要だろう。銀河間パーキングエリアがたくさんあるといいのだが。さもないと、トランクがぎゅうぎゅうになってしまう。

おすすめのドライブ・コース

それは途方もなく長い旅で、景色もほとんど変わらないだろう。肉眼で見える恒星は、銀河系を抜ける前にすべて燃え尽きてしまっているだろう。

室温の恒星に接触したいなら宇宙探査機ケプラーが発見した恒星の1つ、ケプラー1606を通過するルートを計画するといい。それは2800光年の距離にあるので、300億年後にあなたが通過するときには、この恒星は快適な室温まで冷えているはずだ。ケプラー1606には現在惑星が1つあるが、あなたがたどり着くころには、その惑星はすでに呑み込まれてしまっているだろう。

恒星がすべて燃え尽きてしまったら、新しい気晴らしを見つけなければ。たとえあなたが、これまでに作成されたオーディオブックのすべてと、あらゆるポッドキャストの全エピソードを持っていくとしても、太陽系のはしまでもたないだろう。

1017年の長距離ドライブ

よく知られているように、ロビン・ダンバー(イギリスの人類学者兼進化生物学者)は、平均的な人間は約150の社会的関係を維持していると述べた。これまでにどこかで生きていたことのある人間の数は1000億人を超える。

1017年の長距離ドライブは、これらの人間一人ひとりの人生をリアルタイムで――一種の無編集ドキュメンタリーの形で――再生し、そして、そのドキュメンタリーのそれぞれを、主人公を最もよく知る150人の一人ひとりに違った解説をしてもらいながら、150回再生して見直すのに十分な長さだろう。

この、人間の生涯とそれに対するさまざまな視点を網羅したドキュメンタリーを見終えるころ、あなたはまだ宇宙の果てへの旅路の1パーセントも進んでいないはずなので、ついに宇宙の果てに着くまでに、この長大なドキュメンタリー――150通りの音声解説が付いた一人ひとりの人間の人生――を100回繰返し見るのに十分な時間があるだろう。