スナックは余分に持っていこう

観測可能な宇宙の端に着いたなら、また4.8×1017年かけて家に戻ることもできるが、帰るべき地球はもはや存在しないので──残っているのは、ブラックホールと恒星の凍った殻だけだろう──さらに先へと進んだほうがいいだろう。

私たちが知る限り、観測可能な宇宙の端は実際の宇宙の端ではない。それより遠方の宇宙からは、光が私たちに届くだけの時間がこれまでに経過していないので、そこが私たちが見ることのできる最も遠いところだというだけだ。宇宙そのものがその特定の距離で終わっていると考える理由はない。とはいえ、その先どれだけ遠くまで宇宙があるのかはわからない。どこまでも続いているのかもしれない。観測可能な宇宙の端は、宇宙そのものの端ではないけれど、地図の端ではある。それを越えたときに何が見つかるかを知る方法は存在しない。

スナックを余分に持っていくのを絶対に忘れないように。

自分の「ご先祖様」は何人いるのか

つい先日気づいたのですが、家系図の人間の数は、世代を遡るごとに指数関数的に増えますよね。つまり、私には親が2人、祖父母が4人、曾祖父母が8人、といった具合にいます。このことから私は思ったのですが、たいていの人は、これまでに生きていたことがあるホモサピエンスの大半の血を引いているのでしょうか? そうでないなら、私はこれまでに生きていたことのあるすべての人々の何パーセント、何分の1の子孫なのでしょうか?――シェイマス

あなたと、これまでに生きていたことのある大半の人間とのあいだに血縁関係はありません。おそらくそのうちの10パーセント程度の人々の子孫なのでしょうが、正確な数値を突きとめるのは困難でしょう。

ランドール・マンロー(著)、吉田三知世(訳)『もっとホワット・イフ? 地球の1日が1秒になったらどうなるか』(早川書房)
ランドール・マンロー『もっとホワット・イフ? 地球の1日が1秒になったらどうなるか』(早川書房)

普通、人には2人の親がいて、そして――地球規模の人口減少が起こった時期を除いて――平均的には少なくとも2人の子どもがいる。このことからすると、私たちの祖先と子孫の両方が指数関数的に増加する傾向にある。時間を遡って数えても、早送りして数えても、あなたと血縁がある人の数は増加する。どの子どもも、2つの家系図につながっており、数世代以上にわたって続く家系はどれも、指数関数的に大きくなって、やがてすべてを包含してしまう。

私たちの祖先という集合も、これと同じように大きくなる。あなたの祖先の一人ひとりが、2つの家系樹の合流を表しているので、世代を遡っていくほど多くの人々が含まれていく。過去に遡っていくあいだに、あなたの家系樹はときどき縮小する――たとえば、祖先のなかに、何世代にもわたって隔離されていた人々がいたなどが原因で――が、完全に途絶えてしまうことはない。