09年10月の第1期生はグループ企業の社員を対象にした公募に1000人が立候補し、200人を選んだ。世代的には30代が最も多く、うち3人は新卒社員だ。

当事者意識を植え付けるために、開校式では、自分が2代目社長になったという前提で3分間の就任スピーチを行った。講義は毎週水曜日の夜6時から10時まで、孫がつきっきりで行っている。

単なる座学ではない。真剣な“知の総合格闘技”というコンセプトに基づき、直面する経営課題を生徒全員に投げて、考えて出した提案について全員で議論するという実践的なものだ。また、孫にとって優先順位の高い経営テーマについて考える宿題が毎回出されるなど、仕事の傍ら、課題もこなさなくてはならない。

受講生に選ばれても決して安泰ではない。ワンクール半年間の講義の成績で下位10%を落とす退学制度もある。もちろん落とされても再チャレンジすることは可能だ。10年4月から外部の2期生100人が入学する。約1万人の応募があり、グループCEOの孫と役員の審査を経て選ばれた。生徒には他社の現役の社員もいれば、医師、大学教授、著名な企業経営者、世界的に有名なコンサルタントなど幅広い人たちがいる。

経営者を育てるには実際に経営の現場に放り込んで、修羅場の経験をさせることだ。アカデミアの受講生も今後、経営の経験をさせて鍛えていく予定だ。

孫も「今後ヤフーのような時価総額2兆円、3兆円の会社がたくさんできる。そういう会社の社長になるのだという覚悟を持て」と発破をかけている。

ほかにも、若手の活躍の場を広げるため、各部門の20代のエースをマネジャーに上げている。その分、降ろさなければならない人もある。いろいろな葛藤はあるが、当社はこれくらいの規模の会社では、間違いなく日本で最も降格率が高い。変化の時代、新しい方針を打ち出していける人材が望まれるなか、前年と同じ仕事をしている人は厳しい。

※すべて雑誌掲載当時

(溝上憲文=構成 田辺慎司=撮影)
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