「自分より高年収の女性は考えられない」男性は2%のみ

既述の通り、男性の約5割が女性に「経済力」を求め、女性の9割以上が男性に「家事・育児の能力や姿勢(協力)」を求める時代になりました(「第16回出生動向基本調査」)。

令和のいま、男性は女性に、昭和の“男性”の役割を、女性は男性に、“女性”の役割を求めていると言えるでしょう。

しかし、女性が「自分より高年収の男性と結婚したい」と希望する「上昇婚」志向は、この40年間で大きくは変わりませんでした。社会学者で中央大学文学部の山田昌弘教授が「これほど長い間、女性の意識が変わらないとは思わなかった」と発言しているほどです。

その状況は、「年収レベルが異なる相手との結婚はどうか」について聞いた、民間の調査でも明らかです。男性の間では、女性の年収が「かなり高くてもOK」の回答がトップ(約7割)を占め、「(自分より高年収の女性は)考えられない」の回答は、2%しかいませんでした。しかし、女性におけるトップの回答は「(自分より低年収の男性は)考えられない」で約6割、逆に「かなり低くてもOK」の回答は、なんと0%だったのです(’17年 エキサイト「エキサイト婚活調査」)。

写真=iStock.com/JadeThaiCatwalk
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女性の下方婚は増えてはいる

もっとも現実には、自身の年収を下回る男性と結婚する女性も、少しずつですが増えている印象です。近年は、女性が男性にアプローチする婚活サイト「キャリ婚」(ninoya)なども登場し、結婚後も働き続けたいとする、いわゆる「バリキャリ」女性を中心に人気を集めています。私も取材しましたが、「本当に未来の妻が働くことを認め、サポートしてくれる男性か否か」を、スタッフが面談で見極め、通過した男性しか登録できない仕組みです。

また’11年、拙著『「年の差婚」の正体』(明治大学・諸富祥彦教授と共著/扶桑社新書)を書いたころから、妻が年上のカップルが顕著に増えていました。それでも’20年の時点では、「妻が4歳以上年上」となると、まだ初婚全体の6.4%しかいませんが、「妻が1歳以上年上」まで範囲を広げると、既に約4組に1組(24.5%)にのぼり、昭和でいう「姉さん女房」も、一般化しています(同 厚生労働省「人口動態統計」)。