欲しいのは家事力と癒し
拙著で取材したバリキャリ女性5人は、自分より低年収で、7~10歳年下の男性と結婚していました。彼女ら全員が口にしたのは、「家事(育児)力」と「癒し」。「夫はいつも、シャンプーの詰め替えやお弁当の準備など『名もなき家事』をやってくれる」や、「疲れて帰ったとき、彼が作ったみそ汁の香りに癒される」などの喜びです。
既に20~39歳の男女では、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」との性別役割分業志向に「(どちらかといえば)反対」が、約7割にのぼります(’22年 内閣府「男女共同参画白書」)。また、明星大学の須藤康介准教授らの研究によれば、「大学院卒の女性は、男性から結婚相手として敬遠されることを自覚しており、(他の女性層より)アプローチしてきた男性と積極的に関わろうとする」ともいいます(須藤康介ほか[2018]「学歴・収入・容姿が成婚と配偶者選択行動に与える影響:結婚相談サービスに内包されたメカニズム」、『理論と方法』数理社会学会、33(2))。
女性も結婚後、第一線で働き続けることを希望するなら、「私が頑張って稼ぐから」と一定の覚悟を決めるべきでしょう。その際は、年下、あるいは自身より低年収の男性も視野に入れ、既成概念にとらわれない自由な結婚の形を追究すべきではないでしょうか。
「結婚に恋愛は必要」は当たり前か
以前の記事で、恋愛と結婚がいかに「水と油」で相容れないものかお伝えしました。
すでに日本では、7割の夫婦が「共働き」です(図表1)。また、いまやフルタイム就業(週35時間以上/非正規含む)の妻をもつ家庭が約500万世帯にのぼり、共働き全体の約4割を占めています(’20年 厚生労働省「厚生労働白書」ほか)。
そんななか、誰もが「結婚すれば妊娠するのが当たり前」という状況ではなく、疲れきった夫婦(20~49歳)の間では「セックスレス」も当たり前になりました。本書の第3章でふれていますが、その割合は’06年(3割強)以降、ずっと右肩上がりで増え続け、’20年時点で5割を超えています(図表2)(同 「ジェクス ジャパン・セックスサーベイ2020」日本家族計画協会)。