仮説を提示する際に留意すべき「2つの要素」
とはいえ、顧客としても「精度高い仮説を持ってきてよ」と思っているんじゃないかとか、「準備してこない営業なんて信頼されないのでは」と思いますよね。確かにそうです。
そこで顧客に仮説を提示するにあたっては、次の2つの要素に留意します。
・期待値のコントロール
1つ目の提案の規模というのは、自分達の提案を実行するためにどのくらいのコストがかかるのかということです。
エンタープライズ(大企業)向けの提案では、SMB(中小企業)向けの提案と比べて、金額ベースで考えると多くの改善効果が見込まれる一方、コストも多くかかり、多くの部署、担当者が判断に関わります。
このような提案では取り得る選択肢も多く、さまざまな要素が絡むため情報もたくさん集めなければならず、仮説も初回から複雑になります。
提案の規模によって、初回の仮説が違ってくる
一方、SMB向けの提案や、エンタープライズでも1つの部署内で検討が完結するような規模の小さな提案であれば、関わる人や取り得る選択肢も少ないので仮説がシンプルになります。またコストも小さいので判断を誤った際の損失も小さく、決断がしやすくなります。その分、1つの契約から得られる収益は少なく、多くの提案をする必要があるため、より仮説のスピードが重視されます。
このように提案の規模によって、初回の仮説をどこまで作るかが違ってくるのですが、私個人の経験としてはエンタープライズ向けであっても、初回提案では方向性を決めるような簡単な仮説をぶつけるほうがよいと思います。
せっかく時間をかけて仮説を作り込んでも、前提が違っていたり、事前に知り得ない重要な情報が後から出てきて、大きく方向性を修正しないといけないケースも出てきます。そこから仮説を作り直すと最終的な仮説に到達するスピードが遅くなるからです。
では、「簡単な仮説でも顧客に準備不足と思われないようにする」には、どうすればよいかというと、事前に期待値をコントロールして認識を合わせておくことです。