まずは時間をかけず、ざっくりとした仮説を提示
クリスマスに食事に誘われたときに、豪華な食事が出ると思って行ってみたところ、缶ビールと軽食しかなかったらガッカリしませんか? でも、最初から「缶ビールと軽食で気軽に話そうよ」と誘われて行ったのであれば、ガッカリしませんよね。
営業でも同じように、顧客が期待している提案の完成度と営業が考えている提案の完成度がズレてしまっていることがよくあります。最初から完全な解決策を提示してくれると考えている顧客に対して、間違っている可能性がある仮説をぶつけると、ガッカリされてしまいます。
これが、「他社事例などをもとに、私なりに考えた御社が取り組むべき課題の仮説をお持ちさせていただきます。実現性があるかディスカッションさせてください」とアポイントを取っていたらどうでしょう? 完璧な解決策を持ってくるとは思いませんよね。
また、提案までの時間を長くとりすぎないことも重要です。情報が限られている以上、仮説の内容はかけた時間ほどよくはなりません(考えているのではなく、迷ったり悩むことに時間を使ってしまっている)。しかし準備時間が長いと、顧客はそれだけしっかりした仮説を用意してくれると期待してしまい、ガッカリされてしまう可能性があるのです。
まずは間違っていてもよいので、時間をかけずにざっくりとした仮説を顧客に提示してみることをおすすめします。
完璧な仮説は「眠くなる講義」と同じ
完璧な仮説では顧客の心は動かない
粗い仮説を早めにぶつけたほうがいい理由はもうひとつあります。
みなさんは学生時代に講義を聴いていて眠くなったことがあると思います。講義は基本的には「正しい情報を学ぶ」というスタンスで受けている人が多いと思います。既に正解があることについて聴き、覚えるという作業をするだけで、自分で新たに何かを考える機会は少ないため、どうしても眠くなってしまうのだと思います。
完璧な仮説を作り上げて、顧客に説明をしているときには同じような状況が発生しています。
内容は素晴らしくても、聞いている人が考える余地がないと、心は動きません。当事者ではなく、傍観者になってしまうのです。
当事者として「自分の意志で選んだ」ときにこそ心が動きます。