提案の前に得られる情報には限りがある

これは現在では、量子力学の台頭により矛盾が出てきたことで、古い概念とされているそうです。ただ、「センサを通してこの世の中の全ての情報をビッグデータとして集めることができ、想像もつかないような計算能力を持つスーパーコンピューターがあれば、AIで未来が予測できる」というのは誰もが一度は空想したことがあるのではないでしょうか?

このように全ての情報を集めることができるのであれば、100%とは言わないまでも精度の高い予測をして仮説を作ることができると思います。

では、営業の場面で考えてみるとどうでしょうか?

確かに全ての情報を得ることができれば仮説の精度が上がりますが、提案の前に得られる情報には限りがあり、100%に近い情報を集めるのは不可能です。企業ページから得られるサービスの概要、商談相手の役割、インターネットや本、知人から得る業界のトレンド、上場企業であれば中期経営計画、財務諸表ぐらいではないでしょうか?

しかしこれらも顧客が課題解決に取り組む際に、結果に影響を及ぼす情報のごく一部でしかありません。このような情報しかない中で、100%に近い確率で当たる仮説を作ることなど不可能なのです。

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最初の仮説は「間違える」前提で作る

仮説の精度を上げようと思うと、多くの情報を集める必要があります。多くの情報を集めるということは、多くの時間がかかります。一方で、前回の記事でも書きましたが、営業におけるスピードの重要性がどんどん高まっている中、時間をかけずに仮説を構築することが求められています。そして、精度が高い仮説を作ろうとするとスピードが落ちます。ではどうすればいいでしょうか。

仮説の精度とスピードはトレードオフの関係にあるので、「最初の仮説は“間違える”前提で、完璧に作ろうとしない」ことが大切です。