厳しい著作権法が日本のITをダメにした

前回の記事(20年前なら日本のIT技術は世界一だった…天才プログラマーの7年半を奪った「著作権法」という闇)において、2004年にファイル共有交換ソフト「Winny」を開発した東京大学大学院特任教授(当時)の金子勇氏が著作権法違反幇助罪で逮捕、起訴されたことで、日本が世界のIT革命に乗り遅れた件を取り上げた。

その一方で、動画配信システム「YouTube」が生まれたアメリカでは、1998年に制定されたデジタル・ミレニアム著作権法で、検索エンジンや動画サービスなどのサービス・プロバイダーは、法律に定める要件を満たしていれば著作権侵害の責任を負う必要がなく、そのおかげでYouTubeが世界を席巻するようになったこともお伝えした。

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厳しい著作権法が日本を“IT後進国”にし、著作権法を柔軟に活用したアメリカがIT産業の最先端を走り、多くのIT企業が莫大な収益を世界中から集める結果となったわけである。

米国IT産業を盛り立てた「フェアユース」という考え方

そしてもう一つ、アメリカでITビジネスが発展した著作権法に関する規定がある。それが、利用目的が公正(フェア)であれば著作権者の許諾なしでも著作物の利用を認める「フェアユース」規定である。フェアな利用であるかどうかは、「利用の目的」「利用される著作物の市場に与える影響(市場を奪わないか)」などの4要素を総合的に見た上で判断されている。

IT関連の著作権侵害裁判でこのフェアユースが認められた事例を紹介する。スマートフォン向けOS(基本ソフト)「アンドロイド」の開発をめぐり、オラクルが著作権侵害でグーグルを訴えた訴訟である。

2005年、グーグルはアンドロイドを開発する際、オラクルが著作権を所有するJava SEのうちの、アプリケーション・プログラム・インターフェイス(API)の一部(全体の0.4%・宣言コード部分)を複製した。

著作権侵害で訴えたオラクルに対し、グーグルはこれをフェアユースであると主張した。