NHKは本当に「特殊な会社」なのか

NHKの言わんとすることはこうである。

私たちは、製品(放送番組)を作っている。それがあなたの欲しいものかどうかはどうでもいい。あなたが、それを使うかどうかもどうでもいい。私たちは製品を作り、あなたの元へ届けるために、会社を維持する必要があるのだから、お金(受信料)が必要だ。私たちはお上のお墨付きをもらった特殊な会社なのだから、あなたはわが社の維持費を負担しなければならない。

このようにわかりやすく言い換えたら、「はい、そうですか」と受信料を払う人はいないだろう。

NHKがこのような無理なことを言うよりどころとしているのが「私たちは特殊だから」ということだ。NHKはこれをプロパガンダのように何度も繰り返せば、人々はそうだと思い込むと考えているらしい。では、NHK、およびその前身である日本放送協会は、どう「特殊」なのだろうか。

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受信料は「民間放送」を聴く対価だった

ここで注目すべきは、「特殊な負担金」をNHKがプロパガンダとして使い始めたのは1964年になってからだということだ。日本放送協会が発足したのは1925年である。ということは、39年もの間「特殊な負担金」だと主張してこなかったということだ。なぜかといえば、それまでは受信料は「特殊な負担金」ではなかったからだ。

日本放送協会(以下協会とする)は、戦前の無線電信法(1915年制定)では「私設無線電話施設者」と規定されていた。つまり、放送局(無線電話施設)を私的に作った民間業者ということだ。NHKは「公共放送」であるとして、まるで公共機関であるかのように思い込ませようとしているが、今も昔も、「私設無線電話施設者」であることに変わりはない。

当時の日本国民は、この「民間放送」を聴くために受信料を払った。ここではコンテンツと対価の間に「特殊」なものは何もない。人々は放送コンテンツが聴きたかったので対価として受信料を払った。これは、今でいえば、WOWOWのような有料放送だ。欲しいものを手に入れたのだからだれも受信料を払うことに文句はいわなかった。