ネット世界ではNHKは「特殊」ではない

現在、冒頭に登場した「公共放送ワーキンググループ」は、これまでNHKが放送を必須業務、インターネットを補完業務としていたのを改め、インターネットを必須業務、放送を補助業務にするのを許そうとしている。問題は、民間放送連盟、新聞各社が問題視しているように、「特殊な負担金」はそのままにして、インターネットに進出していいのかということだ。

有馬哲夫『NHK受信料の研究』(新潮新書)
有馬哲夫『NHK受信料の研究』(新潮新書)

インターネットの世界では、NHKは「特殊」ではない。民間放送も、「あまねく全国」に放送しているし、新聞も雑誌も通信社も「あまねく全国」にコンテンツを届けている。

インターネットの情報の大海の中ではNHKだけが持っている「公共性」というものはない。いくらでも情報はあるので、そのなかから、自分の頭で判断して、信頼できる情報、有用な情報を得ればいい。それを提供してくれるメディアが「公共性」を持っているのであって、提供できなければ「公共性」はない。「公共性」のない事業体が、「自分は特殊なので、維持費をみんなで負担してくれ」といっても、それは無理というものだ。

(デイリー新潮〈NHKは「公共放送」と呼べる存在なのか 早稲田大学教授の鋭い指摘〉も参照)

「NHK受信料は『視聴の対価』ではなく『特殊な負担金』」と言われても、みんなに必要とされる「公共性」がなければ、払う気にはなれない。

受信料は、GHQが考えていたように、無料にすべきだ。さもなければ、もともとそうであったように、コンテンツに対する対価という本来の形に戻すべきだ。つまり、見た人が、見た分だけ払うという従量制だ。NHKがインターネットを必須業務にし、放送を補完業務にするというなら、そうしなければならないのは当然だろう。

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