オンライン診療のデメリット
一方、オンライン診療にはデメリットもあります。急性疾患には向いていません。比較的症状がはっきりしている感染症――例えば手足や臀部や口の周囲に皮疹ができる手足口病などであればわかりやすいかもしれませんが、いずれにしても急性期には向いていません。小児科で対面での診療を受けましょう。
また診察では、視診・聴診・触診を行うことが多いですが、オンライン診療では視診がメインになります。ただ、喉の奥などの見えづらい場所は視診が難しいこともあるでしょう。また音声は聞こえても聴診器は使えないため、明らかにゼイゼイ言っていたり、胸がへこむほどの陥没呼吸を伴ったりする場合はわかりやすいですが、かすかな喘鳴などは聞こえません。また触診はできないため、例えば血便が出る腸重積症、体内の水分が失われる脱水の程度などの見極めが難しくなるでしょう。子どもは悪化するスピードが早いので、直接診療したほうが安心だと思います。
また、オンライン診療では検査や処置ができません。小児はさまざまな感染症になるため、溶連菌、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、インフルエンザウイルス、新型コロナウイルスなどの検査キットが必要な場合が多いものです。百日咳やマイコプラズマも一般的には確定診断に検査が必要です。またオンラインで診断がついたとしても、吸入をする、水いぼを摘除するなどの処置が必要だったら、やはり来院が必要になります。
小児科医が往診するとは限らない
一方の往診サービスはどうでしょうか。最近ソーシャルメディアで広告をよく見かけますね。アプリを使って往診の要請をすると、医師が患者さんの自宅などを訪れて診察し、検査キットを持っている場合は必要に応じて検査し、その場で薬を出すというサービスで、数社から提供されています。往診サービスは、医師が治療計画を立てたうえで定期的に患者さんの自宅に行って診る「訪問診療」とはまったく違うものです。
こうした往診サービスのメリットは、オンライン診療と同じで、つらい症状のある子どもを動かさないで済むこと、親も出かけなくても済むことです。さらにオンライン診療と違って直接診察してもらえること、すぐに薬が手に入ることもメリットといえるでしょう。
ただし、いい面ばかりとは限らず、考慮しなくてはならない点もあります。まず、必ず小児科専門医が来てくれるかどうかはわかりません。小児の場合、大人とはかかりやすい疾患も使用する薬も違うため、できるだけ小児科の専門医にかかることが大切です。ところが、こういったサービスで派遣される医師は他科の医師であることも多く、往診サービス会社に所属する常勤医ではないことも多いようです。どの診療科の医師が来てくれるのかを確認する必要がありますね。