物産マン、一人一人が経営者
商社の事業は、世界各国に展開しているため、子会社、駐在員の数は他の業界を圧倒するものがある。そのような商社の業務において、年々重要性が高まっている部門があるという。かつては、帳簿作成などが主業務の“裏方”部門が、今や、戦略立案や投資アドバイスを行う重要な部門になっている。
「CFO(最高財務責任者)を200人つくる」
こんな取り組みをしているのが、三井物産CFOの岡田譲治である。岡田と飯島とは、学部こそ違うが、横浜国立大学で同学年だ。岡田によると、「学部時代は、お互いに面識はなかった」というが、飯島が行う積極的な投資を財務的に支える“参謀”役が、同級生の岡田である。
岡田によると、資源、エネルギーなど営業の最前線で活躍していた社員が経理や財務に来ると、「バックオフィスに回された」と意気消沈するような傾向があった。しかしながら、最近はこうした後ろ向きの気持ちを持つ社員はいなくなりつつある、という。
「三井物産はもう事業投資会社になっている。物産マン、一人一人が経営者なんですよ。だから、CFOとしての能力がより必要とされているんです」
現在、CFO部門出身者が、海外に200人近く駐在している。CFO部門出身者は、帰国するたび岡田のもとを訪ねては、現地の経営状況を報告していく。岡田は本社の財務担当者の責任者として、海外事業をサポートし続ける体制を構築している。「CFO部門の強化」をここまで明確に打ち出し、機能させているのは、“岡田カラー”の賜物である。
最後、岡田に飯島について問うと、即座にこんな答えが返ってきた。
「ドンと構えた商売人なんですよ」