オーナーなのに家賃が適正かどうかも分からない
賃貸住宅を選ぶ時、物件の魅力からみて家賃が高すぎる物件は見送るのが普通です。
そうした物件はなかなか入居者が決まらず、空室になることもあるでしょう。
ということは、不動産投資をするなら家賃が適正かどうかは大事なポイントになります。しかし恐ろしいことに、サブリースの契約をしている大家さんは、自分の物件が誰に、いくらの家賃で貸されているか、ほとんど知らされていません。自分がオーナーなのに、自分が投資リスクを負うのに、家賃が適正かどうかも分からないのです。
また支払われる保証賃料もずっと同額ではありません。値下がりする可能性もあります。賃貸住宅では、前の入居者が退去して次の入居者を募集する際には、周辺の相場などを考慮して家賃を見直すことがあります。築年数が経っていれば新築時と同じ家賃というわけにもいきませんし、相場からみて家賃が高ければ入居者が見つからず、空室になってしまうリスクがあるからです。
保証賃料も下がり、サブリース解約という末路
家賃が下がれば、保証賃料も下がるのが普通です。
サブリースの契約書には、近隣の相場や税負担などに応じて家賃を見直す、などと記載されており、ずっと一定の家賃を保証するとは書いてありません。
当然といえば当然ですが、サブリースは、家賃を下げざるを得ないなどの賃貸経営のピンチを救ってくれるものではない、ということです。
サブリース業者としては、空室状態で保証賃料を払えば逆ザヤになってしまいますから、空室にならないようにどんどん家賃を下げます。したがって保証賃料もどんどん下がる、というわけです。先ほどの計算例でもキャッシュフローはマイナスでしたが、保証賃料が下がればさらに状況は悪化します。普通は新築時の家賃が最も高いので、一番いい時でキャッシュフローがマイナスなら、その後は推して知るべし、です。
さらに、どうやっても空室になってしまう状態になると、サブリースを外されることもありえます。サブリースを付けても手数料を取られてキャッシュフローがマイナス。そもそも元家賃が分からないから、何割取られているかも分からない。年数を経るごとに赤字は拡大。最悪、サブリースを解約される……というのがお決まりのストーリーなのです。