サラリーマンに「ワンルーム投資」を売り込む不動産会社は後を絶たない。「不動産Gメン」として活動する滝島一統さんは「頭金ゼロで始められるのでハードルは低いが、収益に対して修繕費が高すぎるため、根本的に儲からない。手を出した人の多くは、毎月赤字なのに不動産価格はどんどん下がる、という罠に苦しんでいる」という――。(第2回)

※本稿は、滝島一統『誰でも儲かる、わけがない 初めての不動産投資必勝ルール』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

家を持ち上げるイラスト
写真=iStock.com/erhui1979
※写真はイメージです

「ローンを完済すれば資産が残る」は本当か

第1回から続く

私のもとには、ワンルーム投資で不労所得が得られるどころか、赤字を出し続けることになり、絶望の淵に立たされている人から、多くの相談が寄せられます。

そのような結果になってしまう主な原因は、家賃から考えて物件価格が高いこと、頭金ゼロで借入額が多いこと、さらにサブリース手数料がかかること、の3つです。

家賃収入を得たり、ローン返済や税金の支払い等のお金の流れを「キャッシュフロー」と言います。

家賃収入だけではローンや経費が払いきれず持ち出しがあることを「キャッシュフローがマイナス」「キャッシュフローが赤字」などと言い、不動産投資としては「失敗」です。

しかし不動産会社の担当者は、「毎月2万円程度の持ち出しはあるけれど、ローンを完済すればマンションという資産が残る」と言います。本当でしょうか。

35年後、2500万円の物件が同額で売れる?

第1回で取り上げた、2500万円の物件を頭金ゼロで購入する例で見ていきましょう。家賃収入が108万円あっても、サブリース手数料が引かれるうえ、税金やローン返済、修繕積立金・管理費などの支出があり、結果、年間28万6000円の赤字となります。

年間28万6000円の持ち出しを35年続けると、合計1001万円の持ち出しです。

もしも、その時にマンションの価格が500万円上がっていれば、1999万円得したことになります。1000万円上がれば、2499万円の得です。

しかし、高度成長などとっくに過ぎた日本において、35年後、ワンルームマンションの価格が新築時より上がっていることなどあるでしょうか。

「1001万円持ち出したとしても、2500万円で売れれば1499万円の得です。だから、ワンルームは収支がマイナスでも問題ありません」、というのがワンルーム業者の常套句で、頭の中がファンタジーとしか言いようがありません。