ワンルーム投資はまず儲からないシステム

家賃の下落だけではありません。

ワンルームマンションは根本的に儲からないシステムになっています。なぜなら物件価格と収益に対して、修繕費の割合が高すぎるからです。

たとえば家賃10万円の物件があったとします。修繕積立金と管理費は家賃の15%程度(約1万5000円)で、不動産会社への管理委託料を加えると20%程度の費用が出ていきます。

さらに設備が壊れると修理しなければならず、15年後、20年後には物件価格の10%くらいの修繕費がかかります。3000万円の物件なら300万円です(最近は部材と人件費が高騰しているので400~500万円をみておくのが無難です)。これは物件に対して割高であり、仮に2億円のビルを買っても、10%(2000万円)もの修繕費はそうそうかかりませんし、ある程度、保険でカバーできる場合もあります。ワンルームマンションは、得られる家賃と修繕費が見合わないのです。

修理工事中のアパートの硬化シートと足場。硬化シート、足場
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また変動金利型でローンを組んだ場合、金利が上昇すれば返済額が増えます。価格も下がるのが普通で、10年後は3分の2、立地や経済動向によっては半分くらいになる可能性もあります。

このように、収益が得られる可能性は限りなく低いのです。

「サブリースをやめたい」はかなり難しい

「サブリースなんて契約しなければいい」「サブリースなんて解約すればいい」と思うかもしれません。しかし、たとえばスキームワンルーム投資の場合、サブリースは物件とセットになっており、フルローンを組むための条件として契約しなければならない場合が多いのが現状です。またサブリースは事実上、途中解約ができず、解約できても違約金がかかるケースがほとんどです。

相談に来る方の契約書を拝見すると、サブリースの契約期間は4~10年程度の例が多いようです。基本的には自動更新で、双方から申し立てがない限りは更新、かつ解約は半年前に申し立てること、などと記載されています。これだけ読むと、申し立てれば解約できるとも読めますが、解約条件として、建て替え等のやむを得ぬ理由がない限りは解約できないといった内容が付記されています。解約できるように見えなくもないが、実際には解約できない、ということです。

ある大手不動産会社では、物件のパンフレットをはじめとしてさまざまな資料で、手を替え品を替え、何回も繰り返し、サブリース契約が解約できないことを表記しています。購入者に分かりにくくしつつ、何度も記載することで、「お知らせしてあるはずです」と予防線を張っているのです。