赤字なら「損切り」以外に道はない
キャッシュフローがマイナスで毎月持ち出しになるようでは、貯蓄は減る一方、傷は深まるばかりです。そういうケースでは物件を売る、つまり「損切り」するしかありません。
損失が累積していくような物件を背負ったままでは、資金は枯渇し、次に進めません。思い切って清算し、次に向けて資金を貯めるなどした方が建設的です。
買ってはいけない物件を買い、損切りもできないのなら、投資には向いていないと言わざるを得ないでしょう。
とはいえ、損切りも簡単ではありません。
たとえば2500万円の物件を頭金ゼロ、ローン2500万円(金利1.5%・35年返済)で購入し、3年後に売却するとしましょう。
ローンの残り(残債)は約2330万円で、売却価格が2330万円以下まで下がっていると、ローンを返済しきれません。新築から間がなくても2割程度下がる場合が多いので、売却価格を2000万円と仮定すると、ローンの残債と売却価格から手数料などを引いた330万円を、別途、用意しなければなりません。さらに仲介手数料、抵当権抹消費用、印紙代などの合計80万円前後も必要です。
「負債になっても保有し続ける」のリスク
自身の金融資産から支払えない場合は、親や兄弟に助けてもらうか、知人に貸してもらう、あるいはフリーローンなどを利用するしかありません。以前、地銀では、売却時に払いきれないローンを系列の金融会社が貸してくれるケースがありました。最近はあまり例がありませんが、親兄弟から借りることができない場合は借入先、または別の金融機関に相談するのもありでしょう。もともとのローンよりは金利は高くなりますが、借りられれば損切りができます。
そこまでして損切りしなければならないのか? それは物件にもよりますが、先に例にあげたような物件であれば、残念ながら最良の手です。
なぜなら、35年もワンルームの負債を抱えていては、自宅の購入や次の投資をするうえでの足かせになりかねないからです。また青息吐息で2500万円払っても、売却価格は1250万円などという悲しい結果に終わる可能性もあります。
それでもいつか資産化するとお考えなら、保有を続けるという選択もいいでしょう。
ただ、大切なことなのでもう一度言いますが、その選択は、そのワンルームが35年の間、家賃が下がらず、修繕積立金と管理費は上がらず、大規模リフォームの必要もなく、35年間値下がりしない、という奇跡に賭ける、そういうことだと、ゆめゆめお忘れなきよう、よろしくお願いいたします。