不動産投資で儲けることはできるのか。「不動産Gメン」として活動する滝島一統さんは「ワンルーム投資に手を出すのは危険だ。入居者から得た家賃の一部がサブリース業者に手数料として吸い上げられてしまい、不労所得が得られるどころか赤字を出し続けることになる」という――。(第1回)

※本稿は、滝島一統『誰でも儲かる、わけがない 初めての不動産投資必勝ルール』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

ロンドンのバッターシーリーチのリバーサイドアパートブロック
写真=iStock.com/CHUNYIP WONG
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不動産投資は誰でも儲かるわけではない

不動産会社の一日は、日々更新される物件の情報をチェックし、星の数ほどの物件から投資価値のある物件を見つけ出すことから始まります。

満室を維持でき、家賃を確実に得ることができ、オーナーの手元に収益が残る物件。築年数を重ねてもむしろ家賃が値上がりするような物件。そうした物件を探します。しかし、驚くほど合致する物件がありません。それは半年に1件、見つかるかどうかです。

その一方で、わずかな頭金で不動産投資を始めている人は少なくありません。ローンも簡単に借りられて、物件を見に行くこともせず、不動産を購入する。待っているのは夢の家賃収入ではなく、赤字の穴埋めに四苦八苦する地獄です。

相談を受けた私が知恵を絞ったところで、失敗した案件がよみがえるわけもなく、親に頭を下げてお金を借りたり、婚約者に隠したり、自己破産したりする人もいます。

いま手軽に買える物件には「裏」がある

なぜこんなことになるのか。

物件が見つからないというのは、「収益性が高い物件が見つからない」ということで、価格が高騰していることが要因です。それを知らずに、手軽に買えるものを買ったり、無理して高いものを買ったりすれば、収益を得るのは難しくなります。

買いたい時に買う。始めたい時に始める。そんな発想で儲かるほど、不動産投資は甘くありません。

私は大手ハウスメーカーや不動産会社を経て、25歳で不動産会社を起業しました。

家賃4万円の賃貸住宅から20億円のビルの売買まで、幅広い物件の仲介をしています。2022年からはYouTubeで、賃貸物件を内見する際のチェックポイントや不動産会社にだまされない方法など、さまざまな情報発信を行っています。これまで、不動産会社が話すことがなかったような裏側を、本音でお話ししているのが特徴です。

YouTubeをご覧になった方から、日々、不動産投資に関するたくさんのご相談があり、その数は月に100件以上を数えます。そのほとんどが、赤字に苦しんでいるという内容で、中にはアポなしで突然会社を訪ねてくる方もいらっしゃいます。それだけ苦しんでいる人がいる、切羽詰まっている、ということです。そうした様子から痛感するのは、残念ながら、不動産会社、そして、不動産投資をする人、どちらのレベルも十分ではない、ということです。