ノルマに追われる営業マンは「売れればいい」

日本では、多くの方が、部屋を借りる時はA社、貸す時はB社、買う時はC社、売る時はD社など、異なる不動産会社に依頼されます。そこで出会うのは、毎月のノルマに追われている営業マンたちです。お客様のライフスタイルや、資産形成など、1ミクロンも考えていません。貸せればいい、売れればいい。長い付き合いになるお客様なら別ですが、一度限りのお客様、浮気される前提のお客様ですから、その人のことをしっかり考える必要などないのです。

不動産投資の魅力は家賃収入が得られることですが、その魅力を大きくしてくれるのが、「レバレッジ効果」です。1000万円を利回り6%で運用した場合のリターンは60万円です。対して不動産投資では、1000万円を頭金に4000万円を借りる(年利2%・35年返済)ことで5000万円の投資ができ、6%で運用すればリターンは141万円(家賃収入300万円−ローン返済159万円)です。借入分の金利を抜いた元本94万円を含む実質的なリターンは253万円とかなり大きくなる。これがレバレッジ効果です。

入居率が高い物件なら、他人(入居者)が家賃を支払う形でローンを返してくれます。遅滞なく返済できれば信用が高まっていき、それによって次の融資が受けやすくなり、別の物件への投資が可能となります。最初にいい物件を買えば芋づる式に物件を増やすことができる、というわけです。

しかし最初に収益性のない物件を買ってしまうと、そのツケを払わされるのに時間がかかり、スタートが遅れてしまいます。場合によってはその時点でアウトです。

私は1軒目の中古ビルを買うのに8年かけた

私自身も不動産投資をしていますが、最初の物件を買うまでに8年かかりました。

最初の5年は頭金とローンを借りるための信用を増やしながら物件を探し続け、5年目以降くらいからいい物件に出合うようになりました。しかし、いい物件を探している人はたくさんいて、別の人に先を越されることが続きました。

紙の家のあるオープン新聞の前にガラスを拡大。家賃、検索、不動産の購入の概念。
写真=iStock.com/SvetaZi
※写真はイメージです

探し始めて8年目にようやく購入できたのは、渋谷区の中古ビルです。そのビルの賃料収入で得たお金で別の事業を始めて、そこで得た収益と信用でまた別の不動産を取得することができました。いずれも、収益を生んでくれています。今は海外にもいくつかの物件を保有しています。

そうした連鎖を作ることができたのは、8年待って納得できる物件を買ったからにほかなりません。待ち切れずに適当な物件を買っていたら、不動産投資で収益を得ていないかもしれませんし、今の私はいなかった可能性があります。