「頭金ゼロ」に飛びつく人は投資してはいけない
頭金ゼロで購入できるのも、大きな問題です。
不動産投資を行う際には、物件価格の20%相当を頭金として用意するほか、手数料や税金など購入時にかかる諸経費として物件価格の数%程度、合わせて物件価格の25%程度の自己資金が必要です。しかし、ワンルーム投資では、頭金ゼロでも購入できるものがほとんどです。ローン金利が低いのであえて頭金ゼロにして多額のローンを組むなどの戦略もありますが、ワンルームを頭金ゼロで買っている人のほとんどは、貯蓄がないから頭金ゼロ、のパターンです。
はっきり申し上げましょう。そういう人には不動産投資をする資格はありません。
病気や収入ダウン、失業など、人生にはさまざまなアクシデントがあり、それに備えるための貯蓄が必要です。家電が次々壊れることもあるでしょうし、キャリアアップのための勉強にまとまったお金がかかることもあるでしょう。貯蓄がないので分割払いで買う、借金するなどしていたら、仮に不動産投資で収入を得ても、元も子もありません。
貯蓄に余裕がないということは、収入が少ないのかもしれませんし、そもそも貯める努力をしていないのかもしれません。収入アップを目指すなり、支出をコントロールするなりして貯蓄を増やすことが先決であり、ローンを組んで投資をしている場合ではありません。頭金ゼロで買っていいのは、貯蓄があるけれどあえて戦略的に頭金を入れない人であり、貯蓄がない人ではないのです。
大損する元凶は、サブリース契約にあり
ワンルーム投資の最大の問題は、「サブリース」です。
サブリースとは、不動産会社が家賃を一定程度保証してくれるものです。
図表1にもあるように、サブリース業者が貸主(物件の所有者)から住戸を借り上げ、転貸人(入居者)と賃貸借契約を結びます。入居者はサブリース業者に家賃を支払い、その中から手数料を引いた額が貸主に保証賃料として支払われる仕組みです。
ワンルーム投資では、基本的にほとんどの物件にサブリースが付いており、不動産業界ではスキームワンルーム、スキーム物件などと呼んでいます。
不動産投資では入居者が入らない「空室リスク」があり、家賃が入らなければローンを貯蓄などから返さなければならず、大きな赤字になります。サブリースの契約をすれば空室であっても家賃が入ってきますから、「それなら安心……」と思ってしまう人は少なくありません。しかし、それが大きな落とし穴なのです。