見た目の数字以上に伸びている夫の育児時間

続いて、こうした体感値ではなく、実際にどのくらいの時間、夫は家事・育児を手伝ってくれているかを数字で確かめてみましょう(図表6)。

こちらも、出生動向基本調査から作った図となります。

専業主婦家庭では、夫の家事育児支援が短くなるので、ここでは共働きでなおかつ6歳未満の乳幼児がいる家庭を調べました。データは「(夫婦)共に正社員」と「共に雇用」と2つあります。後者には、妻がパートタイマーやアルバイトなどの非正規である場合を含めた数字となっています。妻が時間的余裕のあるパートやバイトをしている場合は、夫の家事育児支援時間は短くなりがちだということを念頭に図を見ていきましょう。

夫の育児は、2006年に30分しかなかったものが、直近、共に雇用では61分、共に正社員では73分に伸びています。続いて、それらが、妻の行動時間の何%に当たっているか、が棒グラフになっています。かつては、26.3%だったものが、現在では、共に雇用31.1%、共に正社員では34.8%に伸びています。

実は、この調査で調べる育児時間には、「子どもと遊ぶ」行為もカウントされています。これは主に楽しいだけの話で妻のサポートにはならないでしょう。1日正味20分程度はこうした「遊ぶ」がカウントされています。これを差し引くと、2006年はたった10分となる。こんなのは、実質的な育児時間とは言えないでしょう。対して、直近であれば、「子どもと遊ぶ20分」を差し引いても、雇用者41分、正社員なら53分とそこそこの時間になっています。そう、だから単純な数字の伸び以上に、夫の支援は増えているのでしょう。

妻の2~3割程度だが進歩はしている

家事については、総じて育児より数字が低いのですが、これも、先ほどの話の通り、育児には「子どもと遊ぶ」時間が20分程度含まれているからだ、と考えるとわかりやすいでしょう。それを除くと、ほぼ同じような推移となります。

とまれ、今の乳幼児がいる共働き家庭では、夫は、子どもと遊ぶ以外に、育児と家事でゆうに1時間以上、汗を流している。もちろん、それでも妻の2~3割程度にしかならないし、「支援」「サポート」という意識がそもそも……といった声も聞こえてきそうですが、昭和時代の男である私たち世代から見ると、長足の進歩であり、今後に期待が持てるところです。