「なんとなく眠ってしまった」は避ける
④起きる時間を3回唱える
ちょっと仮眠するつもりが、1時間も眠ってしまった! なんていう経験はありませんか? 実は、眠り過ぎてしまったのには原因があります。それは、起きる時間を決めていなかったことです。
実は脳には、自らを時間通りに目覚めさせる便利なシステムが備わっています。使い方は簡単です。「○分後に起きる」と頭の中で3回唱える、それだけです。
この方法は、自己覚醒法と呼ばれています。
「1分後に起きる」と頭の中で3回唱えてから目を閉じると、1分の少し前から心拍数が上昇して起きる準備が整うことが明らかになっているのです。自己覚醒法は、練習するほど狙った時間に起きられるようになる練習効果が認められています。
なんとしても避けたいのは、「なんとなく眠ってしまった」という仮眠です。
意図せずに眠ったり、どのくらい眠るかを決めずに眠ってしまうと、起きた後に睡眠慣性が発生してしまいます。1分でも30分でも、計画仮眠の終了を決めて実行しましょう。
タイマーで最適な仮眠時間を見つける場合も、タイマーをかけるだけではなく、頭の中でも言語化してみましょう。
これら4つのポイントをおさえて、眠いか眠くないかに関わらず、脳の働きを客観的に管理してみましょう。
計画仮眠は、実行する時間帯をそろえると、より有効に眠気を取り去ることができます。例えば、12時から13時の間の30分以内、というように1時間程度の幅の中で実行すると決めたら、平日は毎日、できれば休日も同じ時間帯で実施していると、睡眠と覚醒の振幅を強調することができ、計画仮眠前後の脳の覚醒を高めることができます。
生理現象を操って生産性を上げる
計画仮眠の効果を検証したユニークな実験があります。
実験では、2つのグループに分かれて、画面に表示されるシグナルに素早く反応するというテストを1日4回実施しています。テストの時間は、10時、12時、14時、16時です。
脳は、目覚めている時間が長いほど、反応速度が遅くなるのですが、1つのグループでは、その通りの結果になり、10時から16時にかけて徐々に反応速度が遅くなりました。
そこで、もう1つのグループには、12時から14時の間に30分間の仮眠をとらせました。その結果、12時までは反応速度が遅くなりましたが、それ以降は遅くなることがありませんでした。つまり、仮眠によって、脳の機能低下を防ぐことができたということです。
これだけでは、面白くないので、この実験では仮眠をしないグループに、報酬を設定しました。早く反応できたらご褒美をもらえる、という設定です。こんな設定になったら、とてもやる気が出そうですよね。
その結果はどうだったかというと、報酬が設定されていなかったときと変わりなく、反応速度は時間とともに低下しました。
心理的な対策より、生理的な対策が有効。ここでは、睡眠が生理現象であるということを理解していただけると思います。