“キワドイ画像”をYahoo!ニュースに掲載していいのか

国内最大級のポータルサイトであるYahoo!JAPAN(以下、ヤフー)には約650媒体から1日あたり約7000本もの記事が配信されている(2021年11月17日時点)。そして記事が閲覧された数などに基づいた金額が配信料として媒体各社に支払われている。

各メディアサイトが作成した記事や写真などがヤフーに配信される。記事は写真1枚と記事タイトルが羅列されるため、各社はインパクトのある写真とタイトルで、その後に続く記事を読んでもらってアクセス数につなげたいと考えている。なかには“キワドイ画像”をあえて使用しているメディアもある。

写真がセパレート型のユニフォームを着用した女子アスリートの場合、世間が注目するほどの結果・成績ではないのにコメント数が多いときがある。そこには、たいていの場合は不適切な言葉が並んでいる。

例えば、リレーメンバー4人が並んだ写真が掲載されると、「一番右に1票」「ペロペロしたい」などというコメントがつく。本人や家族が読んだら、どんな気持ちになるのか。

前述したように、セパレート型のユニフォームは陸上競技関係者や熱心なファンにとっては目新しいものではない。アスリートにとっては制服であり、戦闘服だからだ。それは、競泳や体操、ビーチバレーといった競技の選手にとっても同じだ。

写真=iStock.com/Juan_Algar
※写真はイメージです

競技会場内では極めて「普通」でも、その聖域から一歩出ると別の意味が発生する。陸上競技をよく知らない人には、「ビキニ水着のような露出の多いウエア」に見えてしまうこともあるはずだ。

選手たちは大観衆の前でも競技に最もフィットするウエアを着用しているが、同じウエアで別の場所、たとえば渋谷のスクランブル交差点では、「恥ずかしい」という気持ちになるだろう。

年齢や性別を問わず、鍛えられたアスリートのボディは美しい。だが、各メディアは、数千万人の閲覧者がいるヤフーに配信されることになる自社サイト掲載の写真の選択にもっと気を配るべきだろう。アスリートが意図しないかたちで、競技に関係のないコメントを投げつけられ、傷つくような機会を減らす配慮をしてほしい。

盗撮は迷惑防止条例で犯罪として処罰する可能性があるだけでなく、本人の名誉を傷つける書き込みは犯罪(名誉毀損きそん罪)として処罰される可能性もある。匿名であっても、法的手続により投稿者が特定されれば損害賠償請求の対象にもなりうる。また18歳未満の画像は児童ポルノ法(児童の性的な部位が強調されているものであり、かつ性欲を興奮させ又は刺激するもの)に抵触する可能性もある。

大人たちの歪んだエゴや欲望のために、未来ある若きアスリートたちのメンタルを“消耗”させてはならない。

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