問題視されるべきは盗撮する側

アスリートたちは自分の意思でユニフォームのかたちを選び、観衆の前に立っているが、だからといって、彼女たちの“一部分”をフォーカスしてよいわけではない。

近年、アスリートの「盗撮」が問題視されているが、その原因はスポーツ観戦好きな観客を装った撮影する側にある。SNS全盛時代、スマホやカメラによる性的な視点での写真・動画の悪用が多様化。なかには競技写真に卑猥な言葉を加えて、アスリート本人に送りつける者までいる。

盗撮はもちろん、アスリートの写真・動画を使用した性的目的のSNS投稿やWEB掲載はアスリートを傷つける行為であり、スポーツ界全体としてもこれらを「アスリートへの写真・動画による性的ハラスメント」と位置付け、対策を練っている。

アスリートたちが晴れ舞台(大会)で競技に集中できるように、盗撮の注意アナウンスを流すだけでなく、スタッフが会場周辺を巡回し、疑わしき場合は撮影した画像を確認することもある。大会によっては、カメラ撮影できる席を指定して管理しており、アスリートの盗撮は以前よりは減少している印象だ。

盗撮問題が大きく取り上げられるようになり、周囲の目も抑止力につながっているだろうが、残念ながらなくなることはないだろう。なぜなら、報道機関がこの盗撮を助長しているケースもあるからだ。

一般客はダメで、プロはOKでいいのか?

大会主催者側の努力もあり、一般客によるアスリートへの盗撮は減っている。では、プロはどうなのか。

陸上大会の場合、報道は「ペン」「カメラ」「EMG」(電子的ニュース取材)に分かれている。ペンはミックスゾーン(取材エリア)で選手たちに直接話を聞くことができるが、競技場内には入ることができない。一方、カメラとEMGは立ち入り禁止ゾーンがあるとはいえ、競技場内に入り、選手たちを近い距離で撮影できる。

スタートを切る選手たち
写真=iStock.com/technotr
※写真はイメージです

競技中の写真や、喜びの一瞬を切り取った画像は、選手のパフォーマンス、大会の盛り上がりを伝える意味で必要不可欠だ。しかし、その写真が少し不適切に見えてしまうケースもある。

スポーツメディアなら当たり前でも、陸上競技を知らない人には女子選手のセパレート型ユニフォームが“セクシー”に見えてしまうことがあるからだ。