「統一教会へのダメージを最大化するため」という側面

これ以上統一教会による被害を出さないため、自分と同じような被害者をこれ以上生まないためにも、彼は張本人である安倍晋三を狙ったのではないか。

教団の幹部を殺害してもトップの首をすげ替えるだけだ。それゆえ、統一教会へのダメージを最大化するために、教団幹部でなく、あえて安倍晋三を狙った、という側面もあろう。

「silent hill 333」とは別の凍結されたアカウントにて、山上徹也が殺害をほのめかすツイートを投稿していたという報道もあった(今のところ山上徹也本人は否定している)。

むしろ、「silent hill 333」でのツイートは、安倍晋三へのストレートな殺意を秘匿していたのではないか。そのためにあえて「本来の敵ではない」という表現を使ったのではないだろうか。

政治家は事件が起こる前に対策を取るべきだった

長年、統一教会と政治家の関係を追及してきた私ですら、教団と関係をもつ政治家が命を狙われるとは思ってもいなかった。だが、事件後に開かれた『統一協会被害者家族の会』に来ていた元統一教会信者の「宗教2世」は、その可能性を危惧し、いつか大きな事件が起こるのではないかと、たびたび教団本部へ忠告していたという。

山上徹也被告の起こした事件によって問題が可視化されたことは事実だが、もともと問題は存在しており政治家は事件が起こる前に対策を取るべきだった。

筆者提供写真
旧統一教会についての質問に安倍元首相は答えなかった

その不作為を追及される「火の粉」をおそれ、追及されるべき政治家たちが幕引きを図ろうとしているのであれば、それこそ看過できない事態だ。