災害時の情報インフラとして機能しない恐れ

Twitterの意義といえば、ユーザーの生の声をリアルタイムに拾えること。ラジオやテレビでは番組に寄せられたツイートをリスナー・視聴者の声として紹介しているが、閲覧制限の影響でそれもできなくなり、「メールを送ってください!」と呼びかけている番組も見られた。

一番の懸念は、Twitterが地震や台風などの災害時の情報インフラとして利用されている点だ。多くの省庁・自治体は公式アカウントで注意喚起や避難情報などを発信しており、閲覧制限があると、緊急時に情報を得たり発信したりできなくなってしまう恐れがあるのだ。

また、以前はブラウザ版ならログインせずともツイートを見られたが、ログインしないとツイートが見られない「ログインウォール」が設置された。執筆現在、さきほどマスク氏の投稿を紹介したように、ツイートを埋め込むことは可能だが、ログインしなければ見られなくなった。今回のようにツイートを埋め込んだウェブ記事はよく見られるが、Twitterアカウントのない読者には表示されなくなり、記事が成り立たなくなる可能性もある。

なぜマスク氏は閲覧制限に踏み切ったのか

イーロン・マスク氏は、制限理由について「スクレイピング」と説明している。

スクレイピングとは、ウェブサイトから大量のデータを収集、加工することを指す。API(Application Programming Interface:あるアプリケーションの機能やデータを外部のアプリケーションが利用できるようにする仕組み)で情報を取得するよりもサーバに負荷がかかり、Twitterでも禁じられた行為だ。

TwitterはAPIを無料で公開していたが、マスク氏買収後の変更で無料では書き込みしかできず、読み込みなど他の機能が必要な場合は最低でも月額100ドルと高額になっている。

マスク氏は、大量のbot(一定のタスクや処理を自動化するためのアプリケーション)によるスクレイピングを制限するため、改悪を決断したようなのだ。