国内の利用者数が約9300万人の「LINE」。ビジネスでも欠かせない通信手段だが、使い方次第で「評判を落とす」ケースも。とりわけ不評を買い、失笑されているのは、おじさんが若い女性に送るLINE。コラムニストの石原壮一郎さんは「相手を不快にさせないためにも“おじさんLINE”を反面教師にさせてもらいましょう」という――。

※本稿は、石原壮一郎『失礼な一言』(新潮新書)の一部を再編集したものです。

LINEで評判を落とす方法

世の中には、いろんな「似たり寄ったり」があります。些細なことを「失礼だ!」と声高に責めるのも、人から「それは失礼だよ」と指摘されて「大きなお世話だ!」と逆上するのも、失礼という点では似たり寄ったり。当失礼研究所は、そんな前提に立ちつつ、自分も相手も心地よい境地を目指し続けています。

本項のテーマは、便利だけどちょっと怖い「LINE」。国内の利用者数は約9300万人。最近ではビジネスの場面でも、欠かせない通信手段となりつつあります。しかし、誕生してまだ10年ちょっとで、明確なマナーは確立していません。

LINEアプリのダウンロード画面
LINEアプリのダウンロード画面

それだけに今日もあちこちで、意外な失礼や戸惑いを生み出しています。今現在、ビジネスシーンでLINEを使う場合に「それをやったら自分の評判を落とす」とされていることを挙げてみましょう。

●何時でもお構いなしに送る

送る側は「忘れないうちに」のつもりでも、深夜に上司から仕事のLINEが届くのは、部下にとっては恐怖です。「電話をかけてもいい時間帯」を目安にしましょう。

●長文で込み入った内容を送る

LINEは、長文が必要な話には不向き。大事な資料送るのも避けましょう。タイトルがないので、あとで探しづらくて不便だし、相手の考え方によっては「セキュリティ意識が低い」と思われます。

●おちゃらけたスタンプを送る

かつては「ビジネスシーンでスタンプはタブー」とされていましたが、最近では「真面目なスタンプならOK」という認識が一般的。ただし、スタンプの連投はやめたほうがいいでしょう。

●誰だかわからない登録名にする

仕事の緊迫した連絡が「ピヨちゃん」みたいな登録名で届いたら、ちょっとイラッとします。狙い過ぎたプロフィール(「さすらいの吟遊詩人」みたいなの)も、失礼というより自分が恥ずかしいかも。

●最初に定型の挨拶を書く

LINEでは「いつもお世話になっております」などの挨拶は不要とするのが主流。前置きが長いと、スマホの通知に文章の最初がチラッと表示されたとき、いちいち開かないと内容がわかりません。開いて既読にしてしまうと「早めに返信しなきゃ」というプレッシャーを覚えることになり、忙しいタイミングだとけっこう迷惑です。