皇室典範を改正すれば次の天皇は愛子さまに
もちろん、先に少し言及したように、構造的な欠陥を抱える現在の皇室典範のルールでは、敬宮殿下は皇位継承資格をお持ちではない。
しかし、一夫一婦制を前提として、正妻以外の女性(側室)から生まれたお子さまなど(非嫡出子・非嫡系子孫)による皇位継承の可能性を排除しながら、継承資格を狭く「男系男子」に限定する今のルールは、そもそも無理がある。このまま無理なルールを放置すれば、やがて皇位継承の将来も皇室そのものの存続も、行き詰まるのは明らかだ。現に、次の世代の皇位継承資格者は秋篠宮家のご長男、悠仁親王殿下ただお1人だけになっている。
もし皇室の存続を望むのであれば、皇室典範第1条を変更して「男系男子」限定を解除するほかない。その限定を解除すれば、皇室典範の直系主義(第2条)によって、「皇長子」(天皇の最初のお子さま)でいらっしゃる敬宮殿下が次の天皇になられる。
これは、小泉純一郎内閣の時の「皇室典範に関する有識者会議」報告書(平成17年[2005年])が示した改正案だ。そこには「今後、皇室に男子がご誕生になることも含め」て慎重に検討した結果として、「皇位の安定的な継承を維持するためには、女性天皇・女系天皇への途を開くことが不可欠」との結論が盛り込まれた。それが20年近くも、たなざらしのまま放置されてきたこと自体が異常だ。
愛子さまの未来は引き裂かれたまま
両陛下のご結婚以来の歳月の中で、何よりもおつらい事実とは何か。それは、普通に想像力を働かせれば分かるはずだ。
たったお1人の娘であられる敬宮殿下の将来が、ご自身のご努力ではいかんともしがたい事情によって(皇室典範の改正は国会案件であり、国政事項なので)、不確定な宙ぶらりんの状態のまま、ご誕生以来、20年以上の歳月が経過したことだろう。にもかかわらず政府・国会の無為怠慢によって、今もそれが解決されるメドは立っていない。
上記の報告書に基づく皇室典範の改正が国会でなされたら、敬宮殿下は将来「天皇」になられる。逆に皇室典範が今のままならご結婚とともに「国民」の仲間入りをされる。そのような、目もくらむような“引き裂かれた”未来像のまま、20年あまりの月日が流れた。1人の女性とそのご両親の人生にとって、これほど残酷な仕打ちはないのではないか。