得られる情報は都会も田舎も変わらない

ハイセンスな家具や雑貨から、ユニークな生活家電、「これは何?」と思わず口に出してしまうようなものまで、フロアにはさまざまな商品が並び、見ているだけでも楽しめるフロアになっている。

しかし、いくら未来を担うのは若者だといっても、地方では深刻な高齢化が進んでいる。以前の百貨店の姿を知る、年配の人たちにとっては刺激が強すぎる気もするが、そのあたりはどうなのだろうか。

北村「案外、年配の方々からの反応もいいんです。家具ってそんなに頻繁に購入するものではないから、『次が家具を買うのは最後』という人も多い。今まで見たことがなかったようなハイセンスな商品に、その“最後”の心をくすぐられるみたいですね。

提供=リビングハウス
リニューアル後のフロアの様子。フロア全体がつながっている。

先日、徳島の店舗で92歳の女性がソファを買ってくれたんです。ヨーロッパからの取り寄せの商品で一目ぼれされたそうで、『死ぬまでに届けてや』とおっしゃっていました。『地方だから』と無難な商品を用意するような時代ではもうないと思いますよ」

昔は、都心と地方では情報に格差があった。しかしインターネットが発達した現代では、情報の格差はほぼない。全国どこでも得られる情報は変わらず、違うのは、商品をリアルに見る機会があるかどうかだ。

リニューアルオープンした今年1月から5カ月。売り上げは「予想していたよりも好調」で、撤退する予定はないという。今後も店舗スタッフへの教育や集客を通して、百貨店の再生に携わっていく方針だ。

「行って直接見てみたい」と思わせるような、心をくすぐる、ある意味クレイジー化した場所になることこそ、地方の百貨店が生き残ることができる道なのかもしれない。

(聞き手・構成=フリーライター・冨田ユウリ)
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