まだ日本に進出していないリアルな韓国を体験しようと多くのZ世代が集まり、SNSには関連する無数の投稿がアップされました。これまで日本で流行していた“韓国風”トレンドとは違い、リアルな韓国カルチャーに触れられることが、Z世代の心を掴んだと言えるでしょう。

「最先端」「オシャレ」だからまねしたい

④韓国アイドル・芸能人の人気は、日本のZ世代で進む「韓国化」の下地になっています。TikTokを見ると、韓国アイドルのダンスやポーズをまねた投稿であふれています。

例えば「#GoPlumpChallenge」と呼ばれる一連の投稿動画があります。これは、すっぴん姿からメイク姿に変わる変身動画として韓国で流行し、日本でもまねた動画が数多く投稿されています。

発端は韓国発のコスメブランド「innisfree(イニスフリー)」が韓国で展開した美容液のTikTok広告です。日本のZ世代でも人気の高い韓国の6人組ガールズグループ「IVE(アイヴ)」のウォニョンが起用され、その振り付けをまねた動画がTikTokで大流行。ウォニョン風メイクも広まりました。ミュージックビデオだけでなく、広告動画すらまねてしまうから驚きです。

Z世代が韓国アイドル・芸能人をまねる理由は何でしょうか。自分の好きなアイドルを応援したい「推し活」の一種だと思いますが、若い世代は韓国発のトレンドに「最先端」「オシャレ」というポジティブな印象を抱いているのだと感じます。これは韓国アイドル・芸能人がもたらした影響が非常に大きいと思います。

J-POPブームは昔話になった

1990年代の日本やアジアは、安室奈美恵さんに象徴される空前のJ-POPブームでした。彼女のファッションをまねた、茶髪、細眉にミニスカート、厚底ブーツの「アムラー」が各地で現れました。そんなJ-POPブームはすっかり過去のことになりました。

日本のアイドルは、SMAPや嵐ほどの人気グループでも、北京・上海・ソウル・台北といった都市でしか公演を行っていませんでしたが、K-POPアイドルは、2000年代初期の頃から、東南アジアを中心にツアーを展開し、グローバル展開の地足を着実に固めていきました。

日本でも東方神起やKARA、少女時代がブレークし、彼らのルックスや洗練されたパフォーマンスが広く認識されるようになると、強力な味方が現れます。SNSです。K-POPアイドルたちの音楽やダンス、あるいは彼らを起用したCMが拡散されるようになりました。彼らの影響力とともに、韓国が若者トレンドの発信地になったように思います。