過去最大の課徴金、「自首」した関電はゼロ
日本は20年以上かけて「電力市場の自由化」を進めてきた。しかし今回、公正取引委員会が処分したカルテル行為を見ると、大手電力はすでに始まった自由化制度に従おうとせず、裏では「地域独占時代」に押し戻そうとしている。
また強い影響力を利用して、新電力に関する情報の「不正閲覧」や、卸売り電力価格の「操作」といった信じられない行為も明らかになった。日本の大手電力は一枚岩になって動くことで大きな政治力をもってきたが、その行き着いた末がカルテルだったといえる。
ここでは、このカルテルについて詳しく紹介したい。
公正取引委員会が3月30日、「旧一般電気事業者らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令等について」(ここでは「公取命令」と呼ぶ)という文書を公表して、カルテルの内容、課徴金の額を電事連や電取委に報告した。関西電力が自主報告した内容をもとに公取がさらに調べたものだ。
カルテルは関電が中心だったようだが、関電は「自首」したことでリーニエンシー(leniency)という課徴金減免制度が適用され、課徴金はゼロになった。カルテルの課徴金は、中国電力が707億円、中部電力が275億円、九州電力が27億円の計約1010億円。課徴金としては過去最高額。それほどの不祥事と認識された。
これに対し、中部電力と中国電力は課徴金納付命令の取り消しを求める訴訟を提起する方針で、九州電力も検討中だ。
自社エリアで独占的営業、価格をつり上げ
公取報告では、例えば関西電力と中部電力の間では次のような合意があったとされている。
・「相手方の供給区域において、自社は大口顧客に対して獲得が見込まれない見積もりを提示し、または見積もりを辞退する」
・「自社の供給区域に所在する大口顧客に対して電気料金の水準を維持または上昇させる」