生活保護が打ち切りに
Cさんは生活保護を受けていましたが、何年間もずっと自宅に引きこもっていたため、まったくお金を使うことなく、数百万円ものお金をタンスにしまっていたのです。
Cさんにとっては、隠すというよりも、本当に使わなかったお金をただタンスに入れておいたという感覚なのかもしれません。
しかしなにかの書類を探しているときに、偶然私たちがそのお金を見つけてしまいました。
生活保護の担当者も交えてCさんの自宅で会議をしていたときのことで、お金が見つかったため、Cさんの生活保護はすぐに打ち切りになってしまいました。
もちろん、基本的に貯蓄のある人は生活保護を受給できませんから、打ち切りは仕方のないことです。
しかしなんの楽しみもなく過ごしてきて、お金が残ったまま認知症になってしまったCさんの最後のタンス預金のせいで、生活保護が打ち切りになってしまうのを、私はなんとも言えない気持ちで見守るしかありませんでした。
団地のドアの前に、便や尿などの排泄物を置く
Dさんは病識がない80歳代の女性でした。残念ながらうまく医療や福祉につなげることができず、1カ月程度で関わりが終了してしまったケースです。
こうした、いわゆる困難ケースの場合、訪問依頼が来たからといって必ず訪問できるようになるとは限りません。
ひたすら拒否され続けて、どうしても看ることができない人もいるからです。
Dさんはそのようなケースの一人でした。
Dさんは、住んでいる団地のドアの前に、便や尿などの排泄物をビニール袋に入れて置くという不可解な行動を取っていました。
そうした奇怪な行動のために近隣からの苦情も多く、地域包括センターからの依頼で訪問診療と訪問看護が入ることになりました。