中で亡くなっている可能性もある

このようにどうしても訪問できない人もなかにはいますが、基本的に私たちはちょっとやそっとでは訪問を諦めません。

精神疾患をもつ患者さんに関わることは簡単ではありませんが、どうしても服薬だけはきちんと継続してほしいため、なんとしても関われるように粘り強く努力をするのです。

私はスタッフに情報を一つでも多く取ってくるようにと話しています。例えばチャイムを鳴らして出なかったからといって、そこで諦めることは決してありません。

なぜなら中で亡くなっている可能性もあるからです。

そのため少しでも情報を得るために、インターホンを鳴らして最低でも15分はその場にとどまって粘るように心掛けています。

中で亡くなっているとまではいかなくても、薬が効いて熟睡してしまってインターホンに気づかない可能性もあります。

換気扇からのたばこ臭で気配が分かることも

そのためインターホンを何度も鳴らしたり、ドアをノックしたり、名前を呼んだり、1階の部屋ならば裏に回って窓からのぞいたりなどできることはすべてやり尽くします。

玄関ドアの郵便受けをのぞいてみたら、本人の足だけチラリと見えることもあります。

換気扇からのたばこ臭で在宅の気配が分かることもあります。

そのようなとき、起きるまで必死に郵便受けのすき間から呼び掛け続けることもあります。

西島暁子『魂の精神科訪問看護』(幻冬舎)
西島暁子『魂の精神科訪問看護』(幻冬舎)

そのように粘り強くアプローチしているうちに、出てきてくれることもあります。

あるいはアルコールを飲んでいて、酩酊めいてい状態でなかなか起きられなかったということもあります。

そのようなときはなんのアルコールをどれほどの量飲んでいるか、しっかり観察して、できるだけの情報を得るようにしています。

まさにやれることはすべてやり尽くすのが、私の精神科訪問看護のモットーなのです。

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