官僚のレールに乗って振る舞う人は困る
――新たな規制当局として9月3日に原子力規制庁が発足するが?
荒井「国会事故調の黒川清委員長は、規制当局が電気事業者の虜になっていたと指摘しています。これで規制できるはずがない。規制庁は原子力の専門家を集めることになるだろうが、重要なのは規制庁を動かす原子力規制委員会です。規制委員会は公正取引委員会と同じ独立性の高い三条委員会です。ただ、規制委員会の設置法は衆院環境委員長が提案し、質疑では“原子力ムラの人は規制委員会のメンバーにしない”との答弁がありました。これは尊重されるべきです」
川内「どういう組織になるかは、人事次第。規制委員長は閣僚と同じ権限を持つ。独立性も高く委員会メンバーは5年間変わらない。これまでのように原発推進の官僚のレールに乗って振る舞う人がメンバーでは困る。規制のための組織ですから、原発の危険性をしっかり把握し厳しく規制していくのが原則です」
――政府は田中俊一前内閣府原子力委員会委員長代理を委員長にするというが?
荒井「田中氏は原子力ムラの住人と思われている人。建設40年で原発を廃炉にする政府のルールを実行するかどうかを明言しておらず、再稼働についても“私が判断することではない”と発言。態度が曖昧だ。そもそも法案提出者の衆院環境委員長が田中氏の人事に反対している。たとえば事故調査委員のような高潔な人格と広い見識をお持ちの方であれば、必ずしも原子力の専門家でなくともよいのでは」
政府は、田中氏以外の委員に、中村佳代子日本アイソトープ協会プロジェクトチーム主査、更田豊志日本原子力研究開発機構副部門長、大島賢三元東電事故調委員、島崎邦彦地震予知連絡会会長を据える方針。規制委員会人事は衆参両院本会議での同意が必要な同意人事であり、今後の日本のエネルギー政策に決定的な影響を与えるのは確実だ。