海外と比べ日本人は「歯の健康」への意識が低い

――たしかに、日本ではむし歯になってから歯科にかかる人がほとんどでしょう。

パナソニックが2013年に30~50代の働く男性に実施した「歯とオーラルケアに関する意識調査」によると、トラブルがなくても通院する割合はアメリカの男性が76%なのに対し、日本の男性は36%になっています。

内訳をさらに詳しく見ると、「ややある(不定期だが行く)」人が23%で、「ある(定期的に行く)」人はたったの13%しか日本にはおらず、ほとんど予防に関心がない状況であることがわかります。また、アメリカの男性の86.5%が「歯を健康に保つためにお金や時間をかけてもいい」と考えているのに対し、日本の男性は42.5%しかそうは考えていないそうです。さらに日本では高収入層にも予防歯科は浸透していません。

――ずいぶん意識が違いますね。

そうなんです。さらに、歯への年間投資金額を見ると、アメリカの男性は平均約3万6000円、日本の男性は平均約6000円との結果も出ています。おおよそ6倍も金額が違っています。

「日本人の同僚の口が臭いので何とかしてほしい」

同じくパナソニックが2021年に、今度はドイツ、アメリカ、日本の20~69歳の男女に実施したオーラルケアについてのアンケートでは、口臭対策に自信があるドイツ人は79%、アメリカ人は68%であるのに対し、日本人は19%しかいません。

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私は「息さわやか外来」という口臭専門の外来で診療をしていたことがあります。日本人同士だとあまり気にしないのかもしれませんが、海外に赴任した日本人が「なんで口臭をケアしないんだ」と言われるケースもあるそうですよ。国際化が進んでいく現代において、口臭のケアはこれから必須のビジネスマナーになるのではないでしょうか。

口臭は歯周疾患が大きな原因になりますので、まずはきちんと治すこととセルフケアを徹底することが大切です。「歯が悪くなったら歯科に行く」ではなく、普段からきちんと意識していかないといけません。

――ビジネスシーンでは「スメルハラスメント」という言葉もあり、体臭ケアに注目が集まっています。最近は、マスクを外す人も増えてきましたし、口臭ケアが気になる人も増えてきそうです。

まさに、そうなっていくでしょう。そのためにも、歯を健康に保つことが重要になるんです。