「民主主義の自殺だ」平井鳥取県知事も

「チャットGPT」への危惧は地方自治体でも表面化している。鳥取県の平井伸治知事も同じ日の記者会見で、県職員が政策策定と予算編成、議会答弁資料作成の業務に「チャットGPT」を使用することを禁止すると発表した。

平井知事は「自治体の意思は地域の話し合いの中で決定されるべきものだ」とし、「県庁は現場の苦労を見て特性を把握するためにある。チャットGPTで地域に適した答えが出てくると思わない。意思決定に関わる部分に使用するのは民主主義の自殺だ」と強調した。鳥取県では2月以降、職員が業務で使用するパソコンに制限をかけているという。

こうした世界的に高まるネガティブコールに対して「チャットGPT」開発元である「オープンAI」は、安全対策を公表するなど懸念の解消に躍起となっている。岸田首相と面会した際、アルトマン氏は、「技術的な長所に加え、短所をどう改善していくかについて説明した」と語り、「懸念されるリスクについても考え、人々にとって良いものであることを確認していく」と記者団に語った。

ゆくゆくは「官僚減らし」につながる?

その後、自民党の「AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム」に出席したアルトマン氏は、「日本がAIの利活用を通じて世界で大きな存在感とリーダーシップを発揮してほしい」として、①日本関連の学習データのウエートの引き上げ、②政府の公開データなどの分析提供など、7つの提案を行っている。

規制に乗り出す欧州を尻目に、日本はどういう姿勢で臨むのか。中央省庁の官僚は「この業務効率化が結局、長期的には官僚の人減らしにつながるのではないか」と危機感を強める。今はAIにできることは限られても、これまで官僚が独占してきた膨大なデータベースと法案策定作業の一部が「チャットGPT」などに置き換わる可能性は捨てきれない。AI技術の進歩とともにその領域は広がる可能性がある。

はたして「チャットGPT」に官僚の仕事が奪われる日は来るのか、それとも杞憂きゆうに終わるのか、官僚は身構えている。

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