データの処理能力は人間の脳を超えている
対話型人工知能(AI)「チャットGPT」を開発した新興企業「オープンAI」のサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が来日し、岸田文雄首相と4月10日に面会した。その後記者団の取材に応じたアルトマン氏は「チャットGPTにとって日本市場が有望だ」とした上で、「日本の素晴らしい才能と連携し、日本の人々や文化、言語に適したモデルを構築していきたい」と、日本への進出を考えていることを明らかにした。
「チャットGPT」は、インターネット上の膨大なデータを学習し、利用者が質問をすると、わずか数秒でまるで人間が書いたかのような自然な文章で回答する対話式のAIだ。
対話型AIをめぐっては、「チャットGPT」の開始以降、マイクロソフトやグーグル、アマゾンもサービスの提供に乗り出すなど、開発競争が激化している。その技術水準はハイスピードで伸びており、仕事を代替するという声もある。
スタンフォード大を中退し、20代でCEOに
「岸田首相とアルトマン氏の面談をセットしたのは自民党広報副本部長でネットメディア局長・情報調査局長の平将明衆院議員です。平氏は自民党が新たに立ち上げた『AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム』の座長を務めています。岸田首相との面談後、プロジェクトチームはアルトマン氏を招き、講演を行っており、今後、政府への政策提言に反映される見通しです」と全国紙記者は語る。
4月29、30日に群馬県高崎市で開催した先進7カ国(G7)デジタル・技術相会合でも「チャットGPT」への対応は重要なテーマとして一致した。「生成系AIの利用増加を念頭に、AIの普及に向けた国際的なルール作りで議論を牽引する」(松本剛明総務相)考えだ。
ところで岸田首相と面談したサム・アルトマン氏とは何者か。アルトマン氏は1985年にユダヤ人の家系に生まれ、ミズーリ州セントルイス市で育った。スタンフォード大学在学中の2005年に位置情報SNSを運営する「Loopt」を起業。大学を中退した。
その後、2011年に投資会社「Yコンビネータ」に参加し、14年に同社創業者のひとりポール・グレアムから代表の座を受け継いだ。28歳の若さだった。そして翌15年には新たに設立されたAI研究機関「オープンAI」のCEOに就任した。