「モデルになる人」を選んでカバン持ちをすること

今の人生に疑問を持ち始めて、いったい自分は「子どもの頃、何をしたかったのか」を考えた。そして、小学校の先生になりたかったことを思い出した。

しかし、50歳から、小学校の教員は無理だろう。じゃあ、小学校の先生にはなれないけれど、先生みたいなことは今からできないか? それに近い仕事は何かなと考えていると、「講師業ならできる」と思いついたのです。

50歳の時、東京の本店に戻ったのをきっかけに、土曜、日曜に講師業の講座に通い始めました。

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デビュー戦は53歳で訪れます。小田原市民会館で、50代の人に向けて「定年後の備え」というテーマで仕事が舞い込んできた。それでやってみたら、実際に来た人は、70代、80代の人ばかり。暇つぶしで集まっている。

もうとっくに定年を過ぎている人ばかり。そこで、アドリブをきかせて、「良寛さまは……」と、江戸時代の曹洞宗の僧侶である良寛の話にしたら食いついてきた。

「予定外のことに即座に対応する能力」、この柔軟な姿勢が必要なんだろうと思います。アクシデントに対応できるというのが脳の若さの証しだと思います。

講師業をやっているうちに、講師業も想像以上に競争がきびしいと気付いた。そこで「モデルになる人」を選んでカバン持ちをした。これが人生後半の成功のヒントです。

「モデル」を持つことが、人生後半をうまく生きるためのコツなのです。手弁当でどこにでも出かけていって話を聞いた。

モデルになる人を選んだらその人をマネる

逆に、得てして無駄で終わるのが「資格」です。資格があればいいだろうということで、さまざまな資格を取る方がいます。けれど、往々にして資格を取るだけで終わって、満足して終わってしまいます。

資格はあくまでも入り口。成功のためには「モデル」を選ぶ。モデルをどうやって選ぶかというと、「この人みたいになりたい」と思える人をモデルにする。たんになりたいだけで、なりたくてもなれない人をモデルにしても仕方ない。

「この人みたいになりたい」、それから「この人にならなれるかもしれない」。この2つの要素を兼ね備えた人を選んで、その人をモデルにするのが成功のコツです。

「モデルになる人」を選んだら、とにかくその人に付いて回る。まずは「マネする」ことです。だんだん話し方もそぶりも似てきます。モノマネでいいんです。モデルになる人を選んでその人をマネることが、仕事を覚えるうえで最良の方法だと思います。すると、いつの間にか実力も上がってくるということです。

青木さんの向上心はここで止まりません。どうやったらいい講師になれるか? そう考えた青木さんは、それは受講生の気持ちがわかる講師になることだと思った。では、受講生の気持ちがわかるようになるには、どうしたらいいか。

そこで青木さんはカウンセリングを学ぼうと思い立ったわけです。なぜかというと、受講生もカウンセラーも、じっと黙って話を聴いているなと。

受講生とカウンセラーを重ねて考えるというのは、なかなかできないことです。