中学生でイニシエーションを強要される理不尽

私は母の従妹の家族を見習っていましたので、自分もオウム中心の生活になってしまいまして、小学校の後半ぐらいから、学業よりもオウムが優先されていって、中学になると勉強はほぼできないような状態でした。いろんなセミナーに出たり、説法会があったり、集中修行などがあって、それに参加するには長期で休みをとらなくてはいけなかったり、ノルマを達成していかなくてはいけなくて、長時間道場に詰めて、修行をしなくてはいけない状態でした。

父はと言えば、ずっと見て見ぬふりでした。うちの家庭は壊れていて、父は浮気をしていましたし、自分の趣味を優先して、母と私から逃げていました。

オウムの道場に子どもは何人かいましたが、私はおとなたちと同じように修行をしており、短期修行の会で最年少でした。道場に行くと、たくさんの師や、師補と言われるサマナ(オウム真理教の出家修行者)がいますので、その人たちが私たちを監視しています。そして、なんらかのイニシエーションを受けるためには、ノルマの達成が必要でしたので、それらに集中していました。何人もの男性サマナに取り囲まれて「イニシエーションを受ける」と言うまで、その申込書を書くまで絶対逃がしてくれない状態でした。

富士の教団総本部は汚くて嫌でたまらなかった

イニシエーションで代表的なものとは、たとえばシャクティーパットです。これは尊師、麻原彰晃や幹部の上祐史浩さんのエネルギーを入れていただく、額に入れるという秘儀ですけれども、それを受けるためのノルマがありまして。教学システム何級まで合格とか、なんとかの修行何十時間、何百時間達成とか、そういうものがありまして、それをすべてクリアするために、私は学校のあとも土日も徹夜で全部費やすような生活でした。

私たちは関東地方に住んでいたので、青山の道場や、亀戸の道場や、杉並の道場に、そのとき行かなくてはいけない道場に通っていました。富士の総本部にも通っていましたし、上九(山梨県の上九一色村)にも通っていました。富士の総本部は、ネズミがいっぱいいて、寝ているとネズミに顔を蹴られるような汚い場所です。上九は建物が骨組みで、壁がコンクリートで、屋根も鉄板が見えるような倉庫みたいなところに、チェンバーといってアルミのステンレスのような壁があって、個室がいくつもあるような、そして、畳ではなくてウレタンのような絨毯が敷き詰められているような倉庫です。