若い女性を好む人は出世の見込みが薄い

では出世する男は、どんなキャストを好むのか。例えばこれから経営陣の一角を目指す位置にいるような50代は30代の女性を好む。クラブと違って一般にキャバクラのキャストの年齢は低く20代前半が中心。30代といえばベテランだが、新冨氏によれば、「出世する男は若い子を好まない傾向がある」という。年齢のギャップがあって会話が成り立たないという理由もあるし、クールダウンのために来ているのだから落ち着いた雰囲気を求めるということもある。

こうした男はナンバークラス(指名数1位の座を争う人気キャスト)を前にしても堂々としているという。指名したキャストが別の席へ移動したとき、場つなぎにナンバークラスが接客することがある。彼女はタレントも顔負けの美人だし、話もうまいし、オーラも発している。でも器の大きい男は、怖じ気づくことなく相手のオーラを呑み込んでしまう。へりくだることもないし威張ることもない。逆にナンバークラスを前にするとどぎまぎしてしまう男は「器のサイズ」に問題ありと考えたほうがよさそうだ。

クラブは滞在時間無制限だが、一般的なキャバクラは基本セットの60分が終了すると延長に入り、以降60分ずつ料金が加算されていく。入店時は一回延長して帰ると決めていても、酔ってくると気が大きくなって延長を繰り返す。これが普通の男だ。

出世する男は違う。

だらだら飲むことはない。酔っぱらって内容のない話をしても時間のムダと心得ているから一回分だけ延長して2時間で切り上げる。

「それは人生スケジュールができているからでしょう。週に一回、この時間は気分転換のために飲むと決めているから、時間が来たら切り上げて、家族のもとに帰ることができる。こういうできる男ばかりが来店すると店は儲からないけどね」(新冨氏)

このように出世する男の条件を集めていくと、ある人物像が浮かび上がる。

性格は真面目で誠実で驕らない。周囲に気配りができて状況判断能力に優れている。リーダーシップを発揮して行動し物事に動じない。酒を飲んでも自分を律することができる。日々の生活では人生設計ができていて、それを守る強い意志がある。

すべての条件を備えることは難しいかもしれないが、一つずつ身につけていく努力はしたい。加えて夜の酒席にはその人物の器量が如実に表れることを肝に銘じておこう。

※すべて雑誌掲載当時

(小原孝博=撮影)
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