“同伴”で行く店を決められる男は出世
キャバクラは約25年前に登場した新しい業態だ。それまでナイトビジネスの世界には、高級なクラブか庶民的なキャバレーしかなかった。そこに、双方のよさを併せ持つキャバクラが新たに登場したのだ。明朗会計で高級感もあるキャバクラは瞬く間に数が増え、1985年にはキャバレーとクラブを足したキャバクラという造語が「新語・流行語大賞」の新語部門・表現賞を受賞している。
このキャバクラを日本で初めてつくったのが、現在、歌舞伎町でキャバクラ「蘭○(ランマル)」などを運営するレジャラースの新冨宏会長である。「出世する男」について、新冨氏はキャバクラの経営者として客と接した経験から、「思いやり、誠実、情熱、厳しさを兼ね備える人物」だと分析する。
「常連のお客様に年商100億円の企業の創業者がいますが、この条件を備えています。静かに飲む。さりげなく女性に気を使う。とてもきれいな飲み方をされています」
出世する男には「オレがオレが」という強引さも必要な気がするが、「そんなことはなくて、むしろさりげなく振る舞うもの」と新冨氏はいう。
「女性の好きな物を取ってあげて、シャンパンを空ける。そして女性を喜ばせてさりげなく帰る。男性スタッフに対しても決してエバらない。こうした店には、お客様は気分よくなろうと思って来店される。そのとき『オレだけ気分がよくなればいい』ではだめなんです。女性に求めるものが半分、自分が与えるものが半分。それで全員が気分よく過ごせる。会社経営や日常の仕事も同じではないですか。従業員や取引先に求める一方ではなく、従業員も取引先も気分よくさせてあげれば、仕事はうまくいくはずです」
女性を気分よくさせることができる男は、良好な人間関係をつくるのがうまいということでもある。
しかし主導権は自分が握る。これは出世における重要な条件だ。開店前にキャストと食事してから一緒に店へ行く同伴の場合、8割のカップルはキャスト側が主導権を握って、待ち合わせ時間から食事の店まで決める。残り2割は男性側が主導権を握って自分のペースでキャストをリードする。新冨氏は、「出世する男性とは、間違いなくリーダーシップを発揮できる2割のほうでしょう」という。
同じ主導権を握るにしても、店が終わってからキャストと個人的に飲食する「アフター」好きとなると、話が変わる。深夜2時、3時の繁華街を徘徊するのだから、翌日の仕事には確実に響く。それでも女の子が好きでアフターがやめられないというのでは、状況判断ができないか、意志が弱い人物ということになる。