ネットの時代では簡単に危機が連鎖する

現時点のことに話を戻しましょう。先に述べたように、米国で起こったシリコンバレーバンクの破綻が、スイスに飛び火し、いまは何とかそれを食い止めている状況です。しかし、現状、不安がすべて払拭されたわけではなく、欧州ではドイツ銀行をはじめとし、多くの銀行の株価が大幅に下落しました。

それに関連し、金融危機発生以来、米国の長期金利は微妙な動きをしています。

図表1をご覧ください。表にある「TB3カ月」は3カ月物の米財務省証券(国債)で短期金利です。米国の政策金利にほぼ連動して動くので、2022年に入りインフレが急伸し、それを抑制するためにFRBが政策金利を急速に上げたことを反映し、2%台から3%台、そして4%台へとどんどん上昇していったのが分かります。

一方、長期金利である10年国債利回りは、市場が自由に決める金利ですが、当初は短期金利上昇につられて上がっていきました。しかし、2022年後半からは、短期金利の上昇と比べると、米国経済の先行き懸念から長期金利の上昇が抑えられ、3月に入ってからは金融危機の懸念も加わり、3%台の前半あたりを推移しています。不安が大きいのです。

そして、金融危機は、経済危機と裏腹の関係にあることも忘れてはなりません。

各銀行は、危機が進むと自行の資金確保のために、融資を削減するなどの対応策を取らざるをえなくなります。また、破綻した銀行をメイン銀行としている企業の場合には、財務内容によっては融資が止まることもありえます。これが、一般企業の破綻につながることにもなりかねません。こうなると、金融危機は経済危機を引き起こします。

現状、日本の金融機関に不安は小さく、そのため円が買われ少し円高に推移していますが、何度も言いますが、どの銀行でも取り付け騒ぎが起こると、ひとたまりもありません。

現代ではネットでの銀行取引が拡大しており、あっという間に預金が引き出される可能性もあります。一昔前だと、銀行が閉まっている時間や土日に対応することも可能でした。時間が稼げたわけです。しかし、いまではあっという間に預金が引き出されることになりかねません。ネット社会では危機が急激に広がる可能性が高いのです。

余談ですが、米国の預金保険機構であるFDICは、以前は保護する預金の上限は10万ドル(4月11日時点、約1334万円)でしたが、今は25万ドル(約3335万円)です。一方、日本の預金保険機構はずっと1000万円が限度額です。これが、日本が長い間成長せず、国民の資産も多くは増えていないということを表しているとすれば、とても残念なことです。

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