金融危機の経験

2008年9月に起こった「リーマンショック」を覚えておられる方も多いと思いますが、日本でも金融危機が起こったことがあります。

1980年代後半からのバブル期に銀行は不動産融資を拡大しました。都心をはじめとして全国の不動産価格が高騰しました。しかし、バブルはしょせんバブルですから1990年代に入りあえなくバブルははじけ、不動産担保をもとに多額の貸し出しを行っていた銀行は、不良債権の山に悩まされました。総額100兆円とも言われる不良債権を抱えたのです。バブルに踊った証券会社も同様に多額の不良債権を抱えました。

会談に座り込んで頭を抱えている男性
写真=iStock.com/tuaindeed
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それが1997年11月に危機が一気に噴出しました。3日に中堅証券の三洋証券が破綻、17日に都市銀行の一つだった北海道拓殖銀行、翌週には山一證券、11月の最終週には、仙台の地方銀行が破綻と、次々と金融機関の破綻が続きました。

1998年に入っても、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行というかつての名門行が破綻、一部の金融機関には、預金者などが店の外に列を作って解約を求める、「取り付け騒ぎ」が起こりました。日銀は、そういった金融機関にダンボールで大量の現金を運んだと言われています。

ひとつの銀行に危機が起こるとそれが連鎖しやすいのです。

1997年にはじまった日本の金融危機が何とか終息したのは2003年でした。当時のりそな銀行に危機がささやかれ、破綻リスクが高まったのです。その際に、政府は2兆円の公的資金を投入し、実質国有化することで、なんとか金融危機を食い止めたのです。

もし、そのときに公的資金を投入せずにりそな銀行を救っていなければ、「次探し」が起こり、財務力に劣った当時の世界最大の商業銀行であったみずほ銀行までが危機になるといううわささえ流れていました。みずほ銀行が破綻すれば、さらに金融危機は長引き、バブル崩壊とそれに続く金融危機で青息吐息の日本経済に大きな影響が出たことは間違いありません。

いずれにしても、金融危機は連鎖するのです。