「大学がなんとかしてくれる」という甘え

2000年以降は新しい入試法が定着し、進学先を選ばなければ誰でも大学進学ができることが高校教員や高校生に周知されてきた。この頃は、バブル崩壊とその後の経済低迷の影響で、高卒生の求人が減少し、就職活動が非常に厳しかった時代である。

朝比奈なを『進路格差 <つまずく生徒>の困難と支援に向き合う』(朝日新書)

そこで、将来の就職に多少なりとも有利になるのでないかと期待して、家計が厳しくても大学進学を目指す高校生が増加したのである。オープンキャンパスで学費のことを必死に尋ねる保護者、近くに預ける親戚や知人等がいないし、お金を払って一時預かりを依頼するのも勿体ないと思い、大人でも集中するのが難しいような長時間の式典に幼児を連れてくる保護者は、「教育困難校」の多くの保護者の姿でもある。

1990年代からの新しい大学進学者はどちらのタイプでも学力のことはさほど気にしていないことに注意するべきだ。ほとんどの保護者が大学を出ていないので、大学への憧れはあるものの、大学のシステムや学修について知らない。入学すれば、高校までのように大学が何とかしてくれるだろうと思っている。

送り出す高校側も、進学先の大学は生徒募集に苦しんでいるので、どのような生徒でも入学させてくれると知っているし、入った後のことは高校側の責任ではないと考えている。

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