入試が選抜機能を果たさない「BF大学」
私立大学は受験偏差値の上から「早慶上智」(ICU〈国際基督教大学〉を含むこともある)、続いて関東圏では「GMARCH」、関西圏では「関関同立」、さらに関東圏の「日東駒専」と関西圏の「産近甲龍」となり、次に「大東亜帝国」が続き、一番下には入試が選抜機能をほとんど果たしていない大学群がある。
実は、国公立・私立大学のどちらも一般選抜以外の受験方法が定着して既に久しい。国公立大学は今でも一般選抜での入学者が大多数だが、私立大学全体では総合型選抜(以前のAO入試)や学校推薦型選抜(以前の指定校推薦や一般推薦等)で入学する学生が半数を超えている。
受験偏差値は入学する学生の一部に関係するだけなのだが、偏差値によるランク付けは根強く定着している。入試が選抜機能を果たしていない大学とは、どのような大学なのだろうか。
大学受験の関係者たちはこのような大学を「Fランク大学」や「名ばかり大学」等様々な名称で表しているが、最も知られているのは「BF大学」の呼称だろう。名付親である大手予備校のインターネットサイトでは、前年度の入試において不合格者が少なかったため、入試の際の合否可能性が50%に分かれるボーダーラインが引けなかった大学と説明している。
確かに、近年は、定員を充足していない大学が全大学数の半数近くに上っている。だが、これらの大学の中には、経営状況が厳しくとも、教育の質を保つために入試の選抜機能を手放さない学校も存在する。その一方、そうでない大学は、高等教育の学修が可能になるだけの基礎学力や能力、さらには学習意欲を持っていない学生が多数入学し、教職員がどれだけ努力をしても教育活動が功を奏さない状況になる。
筆者は、このような大学を、高校と同様に「教育困難大学」と呼びたい。