改心したきっかけは孫の「一緒に住もうね」という手紙

男と縁切らんことにはこの道から足は抜けられへん。そう思ったきっかけはね、孫が面会に来てくれ、手紙をくれて、おばあちゃん、一緒に住もうね、もうこういうところに来んようにねというてくれたことなんです。そんなふうに接してくれたんで。この年になっても必要とされてるんやなと思ったら今度こそまじめにならないかん、それこそ孫にも、ひ孫にも見放されてしまったら寂しい老後になる、そんなのいややし、それではいかんと心底、思いました。

ちょっと目が覚めるのが遅かったと思うけど、やっぱり最後はみんなに惜しまれて死にたい。男とはもう手紙のやり取りもしないし、つながりは切ります。わたしも年だし、最後に自分の家族にみてもらって、楽しい老後にしたいと思ってます。ただし、子供夫婦には迷惑をかけたくないから、ここを出たら生活保護を受けて、体が元気な間は働き続けます。

(2018年11月、岐阜県の笠松刑務所で)

よどみなく、流れるような関西弁。まるで浪花節を聞いているような気分になった。

インタビュー後、職員からは「仕事ぶりがしっかりしており、工場で欠かせない人物になっている」と聞いた。

法務省「令和2年犯罪白書」より

女性受刑者は男性から暴力を受けた人が多い

この受刑者もそうだが、女性刑務所の受刑者には、夫や恋人から「暴力を受けていた」という人が目立つ。

先に紹介した令和2年犯罪白書に掲載された法務総合研究所の調査(図表2)では、DV被害や自傷行為、自殺念慮などいずれの項目でも、女性の経験率のほうが男性に比べて顕著に高かった。特にDV被害に関しては、「これまで、交際相手や配偶者などから、身体的な暴力(DV)を受けたことがあるか」との質問に対して、肯定の回答が72.6%に上り、男性の3.5%を大きく上回る。

自殺念慮については、「これまでの人生で、本気で自殺したいと考えたことがあるか」との質問に対し、女性は46.3%で、男性は21%。自傷行為は、「これまで、刃物などでわざと自分の身体を切ったこと(リストカットなど)があるか」との質問に対し、女性は41.2%で、男性の8.1%を大きく上回った。