「組織で働く」≠「人生が豊かになる」

また、この時期はインターネット発展期にも重なります。大学時代にパソコンが普及し、卒業と同時にPCを活用した仕事がメインとなりました。子どもの頃にはなかったデジタルデバイスの扱いも、就職に必須となれば必死で覚えます。コロナ禍での半ば強制的なオンライン業務でも、比較的スムーズに移行できたのは、この世代以降なのではないでしょうか。

岡本祥治『LIFE WORK DESIGN』(プレジデント社)

一方、これより少し上、現在50代後半から60代の若かりし頃を振り返ると、バブル経済の真っ盛りでした。どこの企業も羽振りがよく、「組織に属して働く」ことが最大のメリットだった時代です。

さらにその上の世代を眺めると、現在の70代は高度経済成長期に会社人生を歩んできた世代です。終身雇用が当たり前の価値観を持ち、組織に属することで生活の基盤を築き、年々給料やボーナスが上昇していくのを実感できた世代でもあります。

サラリーマンとして働くことで、マイホームやマイカーも持てた彼らにとって、「組織で働くこと」=「人生が豊かになること」は不可分だったと言えるでしょう。

「フリーに働く」ことに価値を見出す

こうして振り返ると、「転職・フリーランスマーケット」での年齢の壁が、現在50代前半あたりであることもうなずけます。「企業に頼らず生きる」「フリーで働く」ことに価値を見出し、かつ仕事で必須のデジタル知識も持つ世代。これが現在の50代半ばより下の世代であるからです。

ただ、この年齢の壁は、今後徐々に上がっていくはずです。当然の話ですが、現在の40代は10年後には50代になり、現在の50代は60代に移行していきます。仕事に不可欠なデジタルスキルを持ち、かつ知識のアップデートを怠らず、多様な働き方に対応できる柔軟な思考力を持ち続ければ、副業・転職・起業・独立・フリーランス・業務委託のいずれにおいても働いていくことは可能なのです。また、そういう社会をみんなで目指していくべきだと、改めて思っています。

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