高額報酬のキーエンスはなぜ高額報酬が払えるのか

第2位は、『付加価値のつくりかた』。

田尻望『付加価値のつくりかた』(かんき出版)

生産性が高く、社員に高額な報酬を支払うことで知られるキーエンス。本書では、キーエンス出身の著者が、同社ならではの「付加価値のつくりかた」を明かします。

著者によると、キーエンスの高付加価値のキーワードは「マーケットイン型」「高付加価値状態での商品の標準化」「世界初・業界初の商品」の3つ。ここでは「マーケットイン型」に注目してみましょう。

キーエンスは、徹底してマーケットイン型で新商品を企画します。「商品の強み」ではなく「お客様が困っていること」を起点として商品を作るのです。

綿密な分析をもとに「こういう商品を作ったらいいのでは」と仮説を立てたら、検証フェーズに移ります。「こんなものを作ったら、買っていただけますか?」とお客様に聞き、仮説が正しいと確信した上で商品開発に入るのです。ここまでやっている企業が、いったいどれだけあるでしょうか?

著者はキーエンスでの経験をもとに、「付加価値のつくりかた」のノウハウをわかりやすく提示してくれます。営業や企画に携わる方はもちろん、それ以外の職種の方も読んで損はない一冊です。

「会話は一種の取引だ」

第3位には『自分を鍛える!』がランクインしました。

ジョン・トッド著、渡部昇一訳・解説『自分を鍛える!』(三笠書房)

明日は今日より素敵な自分になりたい――。そう思ったら、本書を読むことをおすすめします。

著者はジョン・トッド氏。著作家としても活躍した牧師で、1834年に刊行した本書は、アメリカで大ベストセラーとなりました。

多くの読者をドキッとさせるのは「会話は一種の取引だ」というフレーズでしょう。他人から役立つ情報や精神的な糧を得たいなら、相手もあなたから利益を得られるよう、まず自分の才能や力を磨かねばならない――と著者は説きます。

「自分のまわりには素敵な人がいない」と嘆いているあなたは、まず自分の魅力を点検してみてください。自分を徹底的に磨き、相手に利益を与えられるような人になってこそ、すばらしい人間関係を獲得できるのです。

好ましい習慣を身につける、自分の進む道を慎重に選ぶ、午前の時間を無駄にしない……具体的な「自分を鍛える」方法が指南される本書。200年近く読み継がれるベストセラーから、自分を磨くためのヒントを受け取ってみませんか?